結論から言うと、犬を2匹飼っているにも関わらず、1匹と偽ってペット可賃貸に入居するのは絶対に避けるべきです。確かに、一度住んでしまえばすぐに追い出されることはないかもしれませんが、後々大きなトラブルに発展する可能性が非常に高いです。
今回は、犬2匹とペット可賃貸に住むことの危険性、契約違反した場合のリスク、そして現実的な対策について、具体的な事例を交えながら徹底的に解説します。
佐藤Aさんと妻のBさんは、愛犬のポメラニアン「モコ」とチワワ「チョコ」を溺愛する夫婦です。長年住んだ家が手狭になったため、ペット可の賃貸マンションを探していました。
ようやく見つけた分譲リースのマンションは、日当たりが良く、近くには広々とした公園もあり、まさに理想の物件でした。しかし、マンションの規約では「犬は1匹まで」と定められていました。
Aさんは悩みました。「モコもチョコも大切な家族。どちらかを手放すなんて考えられない…」
そこでAさんは、不動産会社に「犬は1匹だけ飼っています」と嘘をついて契約してしまったのです。
入居当初は、特に問題もなく平穏な日々が過ぎていきました。しかし、ある日、マンションの住人から管理会社に「Aさんの家から犬の鳴き声が2匹分聞こえる」という苦情が寄せられたのです。
管理会社はAさんに事情を聞きましたが、Aさんは「気のせいではないですか?うちにはモコしかいません」と、また嘘をついてしまいました。
しかし、その後も苦情は止まず、ついに管理会社がAさんの部屋に立ち入り調査を行うことになったのです。
立ち入り調査の結果、Aさんが犬を2匹飼っていることが発覚しました。管理会社はAさんに対し、契約違反を理由に「ペット飼育契約の解除」と「違約金の支払い」を求めました。
Aさんは必死に謝罪し、2匹の犬を手放すことはできないと訴えましたが、管理会社の態度は変わりませんでした。
最終的に、Aさんは弁護士に相談し、管理会社との交渉の末、違約金を支払うことで和解しましたが、マンションには住み続けることができなくなってしまったのです。
このケーススタディからわかるように、ペット可賃貸で犬の数を偽ることは、一時的に問題を先送りにするだけで、最終的には自分自身を苦しめる結果となります。
Aさんのように、嘘をついて契約した場合、以下のようなリスクが考えられます。
契約解除:契約違反となり、強制的に退去させられる可能性があります。
違約金:契約書に定められた違約金を支払わなければならない場合があります。
損害賠償:他の住人に損害を与えた場合、損害賠償を請求される可能性があります。
信用失墜:不動産会社や管理会社からの信用を失い、今後の賃貸契約が難しくなる可能性があります。
精神的苦痛:嘘をつき続けることによる精神的な負担は計り知れません。
「バレなければ大丈夫」と安易に考えるのは非常に危険です。ペット可賃貸には、犬の数や種類を制限する理由が必ずあります。
騒音問題:犬の鳴き声は、他の住人にとって大きな迷惑となることがあります。特に、複数の犬が吠え続けると、騒音トラブルに発展しやすくなります。
衛生問題:犬の排泄物や体臭は、共用部分の衛生環境を悪化させる可能性があります。
アレルギー問題:犬アレルギーを持つ住人にとっては、犬の毛やフケが健康被害を引き起こす可能性があります。
建物の損傷:犬が壁や床を傷つけることで、建物の価値が下がる可能性があります。
これらの問題を未然に防ぐために、ペット可賃貸では犬の数や種類を制限しているのです。
どうしても犬2匹と一緒に暮らしたい場合は、以下の対策を検討してみましょう。
1. ペット共生型賃貸を探す
最近では、犬との暮らしを前提とした「ペット共生型賃貸」が増えています。これらの物件は、犬の飼育を前提とした設計になっているため、一般的なペット可賃貸よりも犬との暮らしに適しています。
防音対策:壁や床の防音性能が高く、犬の鳴き声が外に漏れにくい。
ペット専用設備:ペット専用の足洗い場やドッグランなどが設置されている。
消臭対策:換気システムや消臭機能付きの建材が使用されている。
ペット共生型賃貸は、家賃がやや高めに設定されていることが多いですが、犬との快適な暮らしを考えると、十分に価値があると言えるでしょう。
2. 犬2匹の飼育が許可されるペット可賃貸を探す
根気強く探せば、犬2匹の飼育が許可されるペット可賃貸も見つかる可能性があります。不動産会社に相談する際は、犬種や大きさ、性格などを詳しく伝え、条件に合う物件を探してもらいましょう。
また、インターネット上の不動産情報サイトを活用するのも有効です。検索条件を細かく設定し、希望に合う物件を探してみましょう。
3. 大家さんに交渉する
気に入った物件が見つかったものの、犬2匹の飼育が許可されていない場合は、大家さんに直接交渉してみるのも一つの手段です。
交渉する際は、以下の点を具体的に説明し、理解を得るように努めましょう。
犬の性格:おとなしく、無駄吠えをしないことをアピールする。
飼育環境:室内を清潔に保ち、犬の健康管理を徹底していることを説明する。
近隣への配慮:騒音対策や衛生管理を徹底し、近隣住民に迷惑をかけないことを約束する。
ただし、大家さんの許可が得られる可能性は高くありません。交渉が難航することも覚悟しておきましょう。
4. 分譲マンションの購入を検討する
賃貸ではなく、分譲マンションの購入を検討するのも一つの選択肢です。分譲マンションであれば、ペットの飼育に関する規約を自分で決めることができるため、犬2匹との暮らしも比較的自由に楽しむことができます。
ただし、分譲マンションの購入には、多額の費用がかかります。住宅ローンや管理費、修繕積立金など、様々な費用を考慮する必要があります。
ペット可賃貸で犬と暮らす上で、最も大切なのは、他の住人への配慮です。以下のマナーとルールを守り、快適な共同生活を送りましょう。
散歩時のマナー
必ずリードを着用し、犬を制御する。
排泄物は必ず処理し、尿は水で洗い流す。
共用部分での排泄はさせない。
他の住人や犬に迷惑をかけないように注意する。
騒音対策
無駄吠えをさせないように、しつけを行う。
防音対策を施し、犬の鳴き声が外に漏れないようにする。
夜間や早朝は、特に静かに過ごすように心がける。
衛生管理
定期的にシャンプーやブラッシングを行い、清潔を保つ。
室内をこまめに掃除し、犬の毛やフケを取り除く。
換気を徹底し、臭いがこもらないようにする。
健康管理
定期的な健康診断や予防接種を受けさせる。
ノミやダニの駆除を徹底する。
病気やケガをした場合は、速やかに獣医に診てもらう。
これらのマナーとルールを守ることで、他の住人とのトラブルを未然に防ぎ、犬との快適な暮らしを楽しむことができます。
犬2匹とペット可賃貸に住むことは、決して不可能ではありません。しかし、そのためには、正直な情報開示と、周囲への配慮が不可欠です。
嘘をついて契約するのではなく、犬2匹と一緒に暮らせる物件を探すか、大家さんに交渉するなど、正当な手段を選ぶようにしましょう。
そして、犬との暮らしを楽しむためには、マナーとルールを守り、他の住人との良好な関係を築くことが大切です。
今回の記事が、あなたと愛犬たちが安心して暮らせる住まいを見つけるための一助となれば幸いです。