賃貸物件の備え付けエアコンから水漏れと黒いホコリが発生した場合、修理費用は誰が負担するのでしょうか? 6年住んでいる賃貸で、入居時から設置されていたエアコンに問題が発生したというケースを元に、詳しく解説していきます。
管理会社に相談したところ、
・自費で業者に頼んでクリーニングをしていないからそちらの責任
・業者を行かせてもいいけど、こちらの過失があったら料金(業者の出張料含め)がかかる
と返答がありました。
ただ、フィルター掃除は定期的にしており、ドレンホースなど専門的な部分には手を加えていません。
また、ペット(犬)を飼ってはいますが、掃除も行っており、過度に汚しているつもりはありません。
この場合、修繕・クリーニングの費用は借主負担になるのでしょうか?
国土交通省のガイドラインでは、「通常使用による劣化や内部の汚れ・故障などは貸主負担」とされていると思うのですが、実際どうなのか判断がつかず困っています。
結論から言うと、今回のケースでは、エアコンの修理・クリーニング費用は貸主負担となる可能性が高いです。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、経年劣化や通常の使用による損耗は貸主が負担するとされています。
ただし、費用の負担割合は状況によって変わるため、まずは以下のポイントを確認しましょう。
1. エアコンの設置時期と使用年数: エアコンが設置されてから何年経過しているか、入居時からどのくらい使用しているかを確認します。
2. 水漏れ・黒いホコリの具体的な状況: いつから、どのような状況で水漏れや黒いホコリが発生しているかを詳しく記録します。写真や動画を撮っておくと、より状況を伝えやすくなります。
3. フィルター掃除の頻度と方法: フィルター掃除をどのくらいの頻度で行っていたか、具体的な方法を記録します。
4. ペット(犬)の飼育状況: 犬種、飼育場所、換気状況など、ペットの飼育状況を詳しく説明できるようにしておきましょう。
これらの情報を整理した上で、再度管理会社に相談してみましょう。
もし私が相談者さんの立場だったら、以下の手順で対応します。
まずは、管理会社に状況を詳しく説明し、修理費用の負担について改めて交渉します。その際、以下の点を明確に伝えましょう。
定期的にフィルター掃除を行っていたこと
ドレンホースなど専門的な部分には手を加えていないこと
ペット(犬)の飼育状況に問題がないこと
国土交通省のガイドラインに基づき、経年劣化による故障である可能性が高いこと
「ガイドラインでは貸主負担とされているはずですが、いかがでしょうか?」と、冷静に確認することが大切です。
管理会社との交渉が難航する場合は、自分でエアコンの専門業者に相談してみるのも有効です。状況を説明し、原因や修理費用の概算を聞いてみましょう。
業者によっては、管理会社に状況を説明してくれる場合もあります。また、専門家からの意見は、管理会社との交渉材料にもなります。
管理会社が費用負担を拒否する場合、内容証明郵便で「エアコンの修理を求める通知書」を送付することも検討しましょう。内容証明郵便は、送付した内容を証明するもので、法的な効力はありませんが、相手にプレッシャーを与える効果があります。
通知書には、以下の内容を記載します。
エアコンの故障状況
修理を求める理由(ガイドラインに基づき、貸主負担であるべきこと)
修理期限
期限内に修理されない場合の対応(法的措置も検討している旨)
内容証明郵便を送っても状況が改善しない場合は、弁護士に相談することも視野に入れましょう。弁護士は、法的な観点からアドバイスをしてくれますし、交渉を代行してくれる場合もあります。
犬と暮らす場合、エアコンのトラブルには特に注意が必要です。犬の毛やホコリがエアコン内部に侵入しやすく、故障の原因となることがあります。
犬の換毛期は、特にエアコンのフィルターが汚れやすくなります。こまめにフィルター掃除を行い、必要に応じてエアコンクリーニングを依頼しましょう。
犬がエアコンのリモコンをかじったり、エアコン本体にいたずらしたりするケースもあります。リモコンは犬の手の届かない場所に保管し、エアコン本体にはカバーをかけるなどの対策をしましょう。
犬は人間よりも暑さに弱いため、夏場のエアコンは欠かせません。しかし、冷えすぎも体調不良の原因となるため、適切な温度設定を心がけましょう。
実際に、ペット可の賃貸物件でエアコンの故障が発生し、貸主との交渉で修理費用を負担してもらったAさんの事例をご紹介します。
Aさんは、まず管理会社に電話で状況を説明しましたが、「ペットを飼っているから借主の責任」と言われてしまいました。しかし、Aさんは諦めずに、以下の点を主張しました。
定期的にフィルター掃除を行っていたこと
犬の飼育環境は清潔に保っていること
エアコンは入居時から古いものであり、経年劣化が原因である可能性が高いこと
国土交通省のガイドラインに基づき、貸主負担であるべきこと
さらに、Aさんは自分でエアコンの専門業者に見積もりを依頼し、その結果を管理会社に提出しました。業者の見積もりには、「経年劣化による故障である可能性が高い」というコメントが記載されていました。
これらの情報をもとに、Aさんは粘り強く交渉を続けた結果、最終的に管理会社は修理費用を負担することに同意しました。
Aさんの成功のポイントは、以下の3点です。
1. 冷静に状況を説明し、自分の主張を明確に伝えること
2. 専門家の意見を取り入れ、客観的な証拠を示すこと
3. 諦めずに粘り強く交渉すること
賃貸物件のエアコンの故障は、誰が費用を負担するのか、判断が難しいケースもあります。しかし、国土交通省のガイドラインや専門家の意見を参考に、諦めずに交渉することが大切です。
今回のケースでは、貸主負担となる可能性が高いですが、まずは状況を詳しく確認し、管理会社としっかりと話し合いましょう。