今回は、ペット可賃貸における原状回復費用について、具体的なケースを基に詳しく解説していきます。特に、犬を飼っている、または飼う予定のある方は必見です。退去時に高額な請求をされないためにも、ぜひ最後までお読みください。
結論から申し上げますと、今回のケースでは、退去時に原状回復費用を請求される可能性が非常に高いです。なぜなら、犬がつけた傷は、通常の使用による損耗とは見なされず、借主の過失による損傷と判断されるためです。
しかし、ご安心ください。初期費用を支払っていること、入居期間、損傷の程度など、様々な要素を考慮することで、請求額を抑えることができるかもしれません。
今回のケースを基に、原状回復費用の相場と、請求額を抑えるための交渉術を具体的に見ていきましょう。
まずは、損傷箇所を詳細に確認し、写真や動画を撮影して記録に残しましょう。可能であれば、自分で修理業者に見積もりを依頼し、相場を把握しておくことが重要です。
ドアの穴:大きさや深さによって費用は異なりますが、ドア全体の交換となると数万円かかる場合があります。
柱のカバーの破損:カバーの交換費用に加え、取り付け費用も発生する可能性があります。
柱のクロスの剥がれ:クロスの張り替え費用がかかります。部分的な張り替えで済む場合もあれば、一面全体の張り替えが必要になる場合もあります。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考に、原状回復義務の範囲を確認しましょう。
通常損耗:日焼け、家具の設置による床のへこみなどは、通常損耗とみなされ、借主の負担にはなりません。
経年劣化:時間の経過とともに自然に発生する劣化も、通常損耗に含まれます。
借主の故意・過失による損傷:今回のケースのように、ペットによる損傷は、借主の過失とみなされる可能性が高いです。
初期費用として24万円近く支払っているとのことですが、その内訳を確認しましょう。敷金、礼金、保証金、クリーニング費用などが含まれているはずです。
敷金:退去時に原状回復費用に充当される可能性があります。
礼金:返還されません。
保証金:敷金と同様に、原状回復費用に充当される可能性があります。
クリーニング費用:退去時のクリーニング費用として、契約時に定められている場合があります。
原状回復費用を請求された場合、以下のポイントを参考に交渉してみましょう。
初期費用の内訳を提示:敷金や保証金が含まれている場合、原状回復費用に充当されるべきだと主張しましょう。
損傷箇所の状況を説明:損傷の程度や原因を丁寧に説明し、過剰な請求でないことを訴えましょう。
複数の見積もりを提示:自分で依頼した修理業者の見積もりを提示し、適正な価格での修理を求めましょう。
減額交渉:全額負担ではなく、一部負担とすることで合意を目指しましょう。
第三者機関への相談:交渉が難航する場合は、国民生活センターや弁護士などの専門機関に相談することも検討しましょう。
Aさんのケース:
Aさんは、ペット可の賃貸マンションで猫を飼っていました。退去時に、猫が壁に爪痕をつけたとして、高額な原状回復費用を請求されました。
Aさんは、まず、国土交通省のガイドラインを確認し、通常損耗と判断されるべき箇所と、そうでない箇所を明確にしました。
次に、自分で複数の修理業者に見積もりを依頼し、相場を把握しました。
そして、管理会社との交渉に臨み、ガイドラインに基づいた主張と、適正な価格での修理を求めました。
その結果、当初請求された金額から大幅に減額され、納得のいく金額で和解することができました。
ペットと暮らす賃貸物件を選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。
ペットの種類や数:飼育可能なペットの種類や数、大きさが制限されている場合があります。
ペットに関する特約:ペット飼育に関する特約が設けられている場合があります。特約の内容をよく確認しましょう。
防音対策:犬の鳴き声や足音などが、近隣住民の迷惑にならないように、防音対策を施しましょう。
消臭対策:ペットの臭いが染み付かないように、こまめな掃除や換気を心がけましょう。
保険加入:ペットが原因で発生した損害を補償する保険に加入することも検討しましょう。
今回は、ペット可賃貸における原状回復費用について、具体的なケースを基に詳しく解説しました。
犬との賃貸生活は、楽しいことばかりではありません。退去時の原状回復費用など、注意すべき点もいくつかあります。
しかし、事前にしっかりと対策を講じ、賢く交渉することで、高額な請求を避けることができます。
今回の記事が、皆様の快適な犬との賃貸ライフの一助となれば幸いです。