この度はご質問ありがとうございます。犬と暮らす賃貸物件の退去時に、修繕費でトラブルになるケースは少なくありません。特にフローリングは傷つきやすく、修繕費用が高額になることもあります。しかし、請求された金額が本当に妥当なのか、冷静に判断することが重要です。今回は、同様のケースを解決に導いた事例を参考に、具体的な対処法をアドバイスさせていただきます。
Mさんは、愛犬の引っ掻き傷が多数ついたフローリングの修繕費として、不動産会社から20万円を請求されました。Mさんはペット可の物件に住んでいましたが、契約書には「ペットによる損傷は借主の負担」と明記されていました。しかし、Mさんはすぐに全額を支払うのではなく、以下の3つのステップで交渉に臨みました。
1. 契約書の再確認: まず、契約書を隅々まで確認し、修繕に関する条項を改めて確認しました。特に、「通常損耗」と「特別損耗」の定義の違いを理解することが重要です。通常損耗とは、経年劣化や通常の使用による損耗のことで、貸主が負担するのが一般的です。一方、特別損耗とは、借主の故意または過失による損耗のことで、借主が負担する必要があります。Mさんの場合、犬の引っ掻き傷は特別損耗に該当する可能性が高いと考えられました。
2. 見積もりの精査: 不動産会社から提示された見積もりを精査し、修繕費用の内訳を確認しました。Mさんは、複数の業者から見積もりを取り、相場を把握することにしました。その結果、不動産会社の見積もりが相場よりも高額であることが判明しました。
3. 交渉: 契約書の内容と見積もりの結果を踏まえ、Mさんは不動産会社と交渉を開始しました。Mさんは、犬の引っ掻き傷は特別損耗に該当する可能性があることを認めつつも、見積もりが高額であること、また、3年間きちんと清掃し、大切に使ってきたことを主張しました。さらに、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考に、通常損耗に該当する部分の費用は負担できないことを伝えました。
Mさんの粘り強い交渉の結果、最終的に修繕費は8万円まで減額されました。Mさんは、減額された金額で納得し、不動産会社と和解しました。
Mさんのケースから学べることは、以下の3点です。
1. 契約書とガイドラインの確認: まずは、賃貸契約書を再確認し、修繕に関する条項を理解しましょう。特に、ペットに関する特約や、原状回復義務の範囲について確認することが重要です。また、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、貸主と借主の負担範囲について具体的な基準を示していますので、参考にすることをおすすめします。
2. 見積もりの精査と相場調査: 不動産会社から提示された見積もりを精査し、修繕費用の内訳を確認しましょう。特に、フローリングの特殊補修費用が妥当かどうかを判断するために、複数の業者から見積もりを取り、相場を把握することが重要です。インターネットで「フローリング 補修 見積もり」などのキーワードで検索すると、複数の業者を見つけることができます。
3. 冷静な交渉: 契約書の内容、ガイドライン、見積もりの結果を踏まえ、不動産会社と冷静に交渉しましょう。感情的にならず、論理的に主張することが重要です。
支払う意思を示す: 焦げ跡とめくれの修繕費は支払う意思があることを明確に伝え、交渉の余地を残しましょう。
相場を提示する: 複数の業者から見積もりを取り、相場を提示することで、不動産会社に価格交渉を促しましょう。
ガイドラインを引用する: 国土交通省のガイドラインを引用し、法的な根拠に基づいた主張を行いましょう。
第三者への相談: 交渉が難航する場合は、消費者センターや弁護士などの専門家に相談することも検討しましょう。
「お香の焦げ跡とめくれについては、修繕費を負担するつもりです。しかし、提示された見積もりは相場よりも高額であるように感じます。つきましては、複数の業者から見積もりを取り、改めて金額を提示させていただけないでしょうか。また、国土交通省のガイドラインによれば、通常損耗に該当する部分の費用は貸主が負担することになっていますので、その点も考慮していただけると幸いです。」
賃貸トラブルに詳しい弁護士のA先生は、次のようにアドバイスしています。
「賃貸物件の退去時に修繕費を請求されるケースは非常に多いですが、請求されるがままに支払う必要はありません。まずは、契約書の内容をよく確認し、請求された費用の内訳を精査することが重要です。不明な点があれば、不動産会社に説明を求めましょう。また、国土交通省のガイドラインは、貸主と借主の負担範囲について具体的な基準を示していますので、参考にすることをおすすめします。もし、交渉が難航する場合は、消費者センターや弁護士などの専門家に相談することも検討しましょう。」
犬と暮らす賃貸物件では、退去時の修繕費トラブルが起こりやすいですが、冷静に対処すれば解決できる可能性は十分にあります。契約書とガイドラインを確認し、見積もりを精査し、冷静に交渉することで、納得のいく解決を目指しましょう。今回の記事が、皆様のお役に立てれば幸いです。