柴犬を引き取られたのですね。お婆様を亡くされ、環境も大きく変わる柴犬さんのことを思うと、少しでも早く安心させてあげたい気持ち、とてもよく分かります。特に、12月中旬の東京出張が目前に迫り、長時間のお留守番をどう乗り越えるか、頭を悩ませていることでしょう。
結論から言うと、いきなり長時間のお留守番は、新しい環境に慣れていない柴犬さんにとって大きなストレスになる可能性があります。しかし、いくつかのステップを踏むことで、少しでも安心して留守番ができるようにサポートできます。この記事では、具体的な方法をケーススタディ形式でご紹介します。
今回のケースは、30歳の女性Aさんが、急遽、引き取ることになった柴犬との留守番について悩んでいるという状況です。Aさんは以前にも保護犬の飼育経験がありますが、今回の柴犬は人に噛み付く癖があり、十分な時間がない中で、どのように留守番をさせるべきか困っています。
柴犬は外飼いで、人との接触が少ない状態だった。
人に噛み付く癖がある。
Aさんは1~2ヶ月に1回、他県へ出張に行く必要がある。
出張の際、朝8時から夜12時近くまで家を空ける必要がある。
ペットホテルやペットシッターの利用は難しい。
新しい環境へのストレス
分離不安
退屈による問題行動(破壊行動、無駄吠えなど)
長時間のお留守番による心身の負担
柴犬との信頼関係を築きながら、少しずつお留守番に慣れてもらうためのステップをご紹介します。
まず、柴犬が安心して過ごせる環境を整えましょう。
クレートの設置:柴犬が落ち着ける場所として、クレートを用意しましょう。クレートは「安全基地」となり、不安な時に逃げ込める場所になります。クレートの中に毛布やおもちゃを入れて、快適な空間を作ってあげてください。最初はクレートの扉を開けたままにして、自由に出入りできるようにします。徐々にクレートの中で過ごす時間を増やしていきましょう。
フェンスやサークルで区切られた空間:クレート以外にも、フェンスやサークルで区切られた空間を用意するのも良いでしょう。このスペースにトイレ、水飲み場、おもちゃなどを置き、柴犬が快適に過ごせるようにします。
落ち着ける音楽:犬用のリラックス音楽や、普段から聞き慣れている音楽を流すのも効果的です。
飼い主さんの匂いがついたもの:Aさんの匂いがついたTシャツやタオルなどを置いておくと、柴犬は安心して過ごせるでしょう。
分離不安は、飼い主さんと離れることへの不安からくるものです。以下の方法で、分離不安を軽減しましょう。
短い時間から練習:まずは数分程度の短い時間からお留守番の練習を始めましょう。Aさんが家を出て、すぐに戻ってくるということを繰り返します。徐々に時間を延ばしていくことで、柴犬は「Aさんは必ず帰ってくる」と学習します。
「行ってきます」と「ただいま」は控えめに:家を出る時や帰ってきた時は、大げさに騒がないようにしましょう。普段通りに接することで、柴犬の不安を煽らずに済みます。
留守番中のアクティビティ:コングにおやつを詰めたり、知育玩具を用意したりして、留守番中に楽しめるアクティビティを用意しましょう。これにより、退屈による問題行動を防ぐことができます。
コング:中にフードやおやつを詰めて与えることで、犬は長時間遊びながら食べることができます。
知育玩具:おやつを探すパズルや、ボールを転がすことでおやつが出てくるおもちゃなどがあります。
散歩で十分に運動させる:留守番前にしっかりと散歩に行き、十分に運動させることで、柴犬はリラックスして過ごせるでしょう。
プロのトレーナーに相談:分離不安がひどい場合は、早めにプロのドッグトレーナーに相談しましょう。専門家のアドバイスを受けることで、より効果的な対策を講じることができます。
柴犬の噛み癖は、早めに改善する必要があります。
専門家によるトレーニング:人に噛み付く犬のトレーニングは、専門的な知識が必要です。ドッグトレーナーや獣医行動診療科医に相談し、適切なトレーニング方法を教えてもらいましょう。
ポジティブ・リインフォースメント:噛み癖を直すためには、体罰は絶対に避けましょう。良い行動をした時に褒めてあげる「ポジティブ・リインフォースメント」という方法が効果的です。例えば、噛まずに大人しくしている時に、おやつを与えたり、褒めてあげたりします。
噛み付きそうな場面を避ける:柴犬が噛み付きそうな場面を予測し、事前に回避するようにしましょう。例えば、無理に抱きしめたり、触ったりしないようにします。
マズルコントロール:獣医さんやトリマーさんが行う方法で、犬に口輪を慣れさせ、必要に応じて装着できるようにするトレーニングです。これにより、安全にケアや診察を行うことができます。
12月中旬の出張に向けて、できる限りの準備をしましょう。
ペットシッターの再検討:噛み癖があるとのことですが、専門的な知識を持ったペットシッターであれば、対応できる可能性があります。事前に面談を行い、柴犬の性格や癖を伝え、対応可能かどうか相談してみましょう。
知人・友人に依頼:もし、信頼できる知人や友人がいれば、留守番を依頼することも検討しましょう。事前に柴犬と会わせて、慣れてもらうことが大切です。
ビデオ通話:留守番中、Aさんが柴犬とビデオ通話をするのも良いでしょう。Aさんの声を聞くことで、柴犬は安心することができます。
帰宅時間を早める:可能であれば、帰宅時間を早めることを検討しましょう。例えば、最終の新幹線ではなく、1本前の新幹線に乗るなど、少しでも早く帰宅できるように工夫します。
柴犬との生活は始まったばかりです。焦らず、ゆっくりと信頼関係を築いていきましょう。
愛情をたっぷり注ぐ:柴犬に愛情をたっぷり注ぎ、安心感を与えましょう。
毎日のコミュニケーション:散歩や遊びを通して、毎日コミュニケーションを取りましょう。
健康管理:定期的な健康チェックや予防接種を行い、柴犬の健康を守りましょう。
継続的なトレーニング:噛み癖の改善や、お留守番の練習は、継続的に行いましょう。
獣医行動診療科医のB先生は、次のようにアドバイスしています。
「新しい環境に連れてこられた犬は、大きな不安を抱えています。まずは、安心できる環境を整え、ゆっくりと時間をかけて信頼関係を築いていくことが大切です。特に、人に噛み付く癖がある犬の場合は、専門家によるトレーニングが不可欠です。焦らず、根気強く向き合っていくことで、必ず良い方向に向かうはずです。」
柴犬との初めてのお留守番は、飼い主さんにとっても犬にとっても不安なものです。しかし、事前の準備とトレーニングを行うことで、少しでも安心して過ごせるようにサポートできます。今回のケーススタディを参考に、Aさんと柴犬が安心して暮らせるように、一歩ずつ進んでいきましょう。
今回の記事が、柴犬との留守番に悩む飼い主さんの参考になれば幸いです。