多頭飼いをしていると、どうしても1匹にばかり愛情を注いでしまい、もう1匹を愛せない…そんな悩みを抱えてしまうこと、ありますよね。特に、先住犬がおとなしい性格なのに対し、後から迎えた犬が吠え癖やいたずら好きだったりすると、その気持ちは一層強くなるかもしれません。
今回は、そんなお悩みを抱えるあなたのために、具体的な解決策と心の持ち方について、犬の行動学の専門家であるドッグトレーナーのA先生と、実際に多頭飼いで同じような経験をしたBさんの体験談を交えながら、お話していきます。
まず、結論からお伝えすると、多頭飼いをしている中で、特定の犬に愛情が偏ってしまうのは、決して珍しいことではありません。犬にも個性があり、飼い主との相性もあります。大切なのは、自分を責めすぎず、状況を改善するためにできることを一つずつ試していくことです。
里親に出すという選択肢も、最終的には犬にとって幸せな道かもしれません。しかし、その前に、できる限りの努力をしてみることで、後悔のない決断ができるはずです。
まずは、Bさんの体験談をご紹介しましょう。Bさんは、10歳になるラブラドールレトリバーのCちゃんと、2歳になるミニチュアダックスフンドのD君を飼っています。Cちゃんは、穏やかで賢く、ほとんど手がかからない子でした。一方、D君は、やんちゃで甘えん坊、そして、とにかく吠えるのが悩みでした。
Bさんは、D君を迎えてからというもの、Cちゃんにばかり愛情を注いでいることに気づきました。D君が吠えるたびにイライラし、Cちゃんと比べてばかり。D君の可愛いところもたくさんあるのに、どうしても好きになれない自分がいました。
「このままでは、D君がかわいそうだ。里親に出した方がいいのではないか…」
Bさんは、毎日そう考えていました。そんな時、Bさんは、犬の行動学の専門家であるA先生に相談することにしました。
A先生は、Bさんの話を聞き、D君の行動の原因と、それに対する具体的な対策を教えてくれました。
犬が吠えるのには、必ず理由があります。D君の場合、分離不安、警戒心、退屈などが原因として考えられました。
分離不安:飼い主と離れるのが不安で吠える
警戒心:インターホンや物音に反応して吠える
退屈:エネルギーを持て余して吠える
原因が特定できたら、それぞれの原因に合わせた対策を行いましょう。
分離不安の場合:
クレートトレーニングを行う
留守番前に十分な運動をさせる
おもちゃを与えて気を紛らわせる
警戒心の場合:
インターホンが鳴っても落ち着いていられるように訓練する
窓から外が見えないように工夫する
退屈の場合:
散歩の時間を増やす
知育玩具を与える
一緒に遊ぶ時間を作る
犬のしつけで大切なのは、悪い行動を叱るのではなく、良い行動を褒めてあげることです。D君が吠えなかった時は、大げさに褒めて、ご褒美をあげましょう。
どうしてもポメチワmixのD君に手がかかってしまい、柴犬のCちゃんとの時間が減ってしまう…ということもあるかもしれません。CちゃんもBさんに甘えたい気持ちがあるはずです。Cちゃんとの散歩の時間を増やしたり、一緒に遊ぶ時間を作ったりして、Cちゃんにも愛情を注いであげましょう。
自分だけで解決しようとせず、ドッグトレーナーや獣医などの専門家のサポートを受けることも大切です。専門家は、客観的な視点からアドバイスをしてくれますし、あなたに合った解決策を提案してくれます。
A先生のアドバイスを受け、Bさんは、D君のために様々な対策を試みました。クレートトレーニングを始め、散歩の時間を増やし、知育玩具を与えました。また、D君が良い行動をした時は、大げさに褒めて、ご褒美をあげました。
最初はなかなか効果が出ませんでしたが、根気強く続けるうちに、D君の吠え癖は徐々に改善されていきました。そして、D君の可愛いところにも、改めて気づくことができました。
Bさんは、D君を心から愛せるようになったのです。
「今では、D君は私にとってかけがえのない存在です。あの時、里親に出さなくて本当に良かったと思っています。」
Bさんは、そう語ってくれました。
Bさんの体験談を踏まえ、多頭飼いで愛せない犬がいる時のチェックリストを作成しました。
これらの項目を一つずつチェックし、できることから始めてみましょう。
最後に、愛犬との関係を改善するためのヒントをいくつかご紹介します。
完璧主義を手放す
犬に完璧を求めすぎないようにしましょう。犬も人間と同じように、個性があり、得意なことと苦手なことがあります。
犬の気持ちを理解する
犬の行動には、必ず理由があります。犬の気持ちを理解しようと努めることで、より良い関係を築くことができます。
楽しい時間を共有する
一緒に遊んだり、散歩に行ったり、旅行に行ったり…楽しい時間を共有することで、犬との絆は深まります。
感謝の気持ちを伝える
毎日、犬に感謝の気持ちを伝えましょう。「いつもありがとう」「大好きだよ」…言葉に出して伝えることで、犬はあなたの気持ちを理解してくれるはずです。
多頭飼いをしていると、どうしても愛情の偏りが生じてしまうことがあります。しかし、それは決して恥ずかしいことではありません。大切なのは、自分を責めすぎず、状況を改善するためにできることを一つずつ試していくことです。
焦らず、諦めずに、愛犬との関係を育んでいきましょう。きっと、愛犬はあなたの愛情に応えてくれるはずです。