退去時の費用請求、本当に困りますよね。特にペット可物件の場合、どこまでが通常損耗で、どこからが修繕費として請求されるのか、線引きが難しいこともあります。今回は、ガス給湯器の故障、床の張り替え、ガラス戸の修理代、そして水漏れによる水道代と清掃代について、支払う必要のある範囲と、どのように交渉を進めるべきか、具体的なアドバイスをさせていただきます。
まず結論から言うと、請求された金額を鵜呑みにせず、一つ一つ内容を精査し、交渉の余地を探ることが重要です。特に、入居前に確認済みの傷や、経年劣化による故障については、支払う必要がないケースが多いです。
今回のケースを参考に、似たような状況で賢く退去費用を抑えたAさんの事例をご紹介しましょう。
Aさんは、あなたと同じようにペット可の賃貸マンションに住んでいました。退去時に、壁のクロスの張り替え費用を請求されたのですが、Aさんは冷静に、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を確認し、壁のクロスの張り替えは、通常損耗に含まれる可能性が高いことを知りました。
Aさんは、ガイドラインの内容を大家さんに伝え、交渉した結果、クロスの張り替え費用は免除されることになりました。さらに、Aさんは、入居時に撮影した部屋の写真を証拠として提出し、退去時の状態と比較することで、不当な請求を防ぐことができました。
このAさんの事例から学べることは、
1. 原状回復義務の範囲を正しく理解すること
2. 証拠となる写真や書類を保管しておくこと
3. 冷静に、根拠を持って交渉すること
この3つです。
それでは、今回のケースで請求されている項目について、詳しく見ていきましょう。
ガス給湯器の故障は、通常、経年劣化によるものがほとんどです。築30年のマンションであれば、給湯器の寿命も考慮されるべきでしょう。
ポイント:
故障の原因が経年劣化であることを主張しましょう。
修理を依頼する前に、大家さんに連絡し、修理業者を選ぶ権利を確認しましょう。
修理業者の見積もりを取り、修理内容と費用を明確にしましょう。
今回のケースでは、大家さんが水漏れを確認していたにも関わらず、連絡がなかったという点も、大家さんの責任を問える可能性があります。
床の傷は、入居前に確認済みとのことですので、あなたが修繕費用を負担する必要はありません。
ポイント:
入居時のチェックリストや、傷の写真を保管しておきましょう。
大家さんに、入居前に確認済みの傷であることを伝えましょう。
もし、入居後に犬が原因で床に傷をつけてしまった場合は、その部分のみ修繕費用を負担する必要があるかもしれません。しかし、今回のケースでは、犬が原因で傷つけたものはないとのことですので、心配する必要はないでしょう。
こちらも、床の傷と同様に、入居前に確認済みであれば、あなたが修繕費用を負担する必要はありません。
ポイント:
入居時のチェックリストや、破損箇所の写真を保管しておきましょう。
大家さんに、入居前に確認済みの破損であることを伝えましょう。
水漏れの原因が給湯器の故障であり、大家さんが水漏れを確認していたにも関わらず、連絡がなかったことを考えると、水道代と清掃代をあなたが全額負担する必要はないと考えられます。
ポイント:
大家さんに、水漏れの原因が給湯器の故障であることを伝えましょう。
大家さんが水漏れを確認していたにも関わらず、連絡がなかったことを指摘しましょう。
自分で掃除をしたことを伝え、清掃代の減額を交渉しましょう。
ここで、原状回復義務について、改めて確認しておきましょう。
原状回復義務とは、賃貸物件を退去する際に、借りたときの状態に戻す義務のことです。しかし、これはあくまで「通常の使用による損耗」を除いた範囲となります。
通常損耗:
日焼けによるクロスの変色
家具の設置による床のへこみ
画鋲の跡
これらの通常損耗については、家賃に含まれていると考えられ、あなたが修繕費用を負担する必要はありません。
故意・過失による損耗:
犬が壁を引っ掻いた
タバコのヤニによるクロスの変色
飲み物をこぼしてできたシミ
これらの故意・過失による損耗については、あなたが修繕費用を負担する必要があります。
それでは、実際にどのように交渉を進めていけば良いのでしょうか?
1. 請求内容の明細を確認する:
請求されている項目と金額を、一つ一つ確認しましょう。
不明な点があれば、大家さんに質問しましょう。
2. 証拠となるものを集める:
入居時のチェックリスト
部屋の写真
修理の見積もり
領収書
3. 国土交通省のガイドラインを確認する:
ガイドラインには、原状回復義務の範囲や、具体的な事例が記載されています。
ガイドラインの内容を理解し、自分のケースに当てはめて考えましょう。
国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
4. 内容証明郵便を送る:
交渉がうまくいかない場合は、内容証明郵便で自分の主張を伝えましょう。
内容証明郵便は、送った内容と日付を証明するもので、法的な証拠となります。
5. 専門家に相談する:
交渉が難航する場合は、弁護士や消費者センターなどの専門家に相談しましょう。
ペット可物件の場合、ペットによる損耗については、通常の物件よりも修繕費用を請求される可能性が高くなります。しかし、今回のケースでは、犬が原因で傷つけたものはないとのことですので、過剰な請求には応じる必要はありません。
ポイント:
ペットによる損耗の範囲を、契約時に確認しておきましょう。
ペット保険に加入しておくと、万が一の事態に備えることができます。
日頃から、ペットのしつけをしっかり行い、部屋を清潔に保つように心がけましょう。
退去時の費用請求は、誰にとっても大きな負担です。しかし、請求内容を精査し、根拠を持って交渉することで、支払う金額を減らすことができる可能性があります。
今回のケースでは、ガス給湯器の故障、床の張り替え、ガラス戸の修理代、そして水漏れによる水道代と清掃代について、あなたが全額負担する必要はないと考えられます。
諦めずに、冷静かつ丁寧に交渉を進めていきましょう。もし、交渉が難航する場合は、専門家の力を借りることも検討してください。
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