ペットと暮らせる賃貸物件、嬉しい反面、退去時の費用は心配ですよね。特に、今回は畳や障子の張替え費用で納得がいかないとのこと。でも、諦めるのはまだ早いですよ! 契約書に「畳の表替えは貸主負担」と明記されているなら、返金してもらえる可能性は十分にあります。
今回は、犬と暮らす賃貸の退去費用トラブルについて、契約書を基に交渉を進め、少しでも多くの費用を取り戻すための具体的なステップと、今後のトラブルを避けるための対策を解説します。
まずは、今回の状況を整理してみましょう。
契約内容の確認: 契約書に「畳の表替え(特に破損はしてないが、次の入居者確保のために行うもの)は賃貸人の負担となる」と明記されていることを再確認。
費用の内訳: ハウスクリーニング代、畳の表替え費用(全枚数)、障子の張替え費用(全枚数)の内訳を把握。
犬による損耗: 犬が粗相をしてしまった畳の枚数(3枚)と、破けてしまった障子の枚数(1枚)を確認。
支払い状況: すでに退去費用を支払ってしまっている。
今回のケースで、なぜ畳と障子の全額張替え費用を請求されたのか、考えられる理由をいくつか挙げてみましょう。
大家さん(または管理会社)の誤解: 契約内容を十分に把握していない、または勘違いしている可能性。
ペットによる損耗の拡大解釈: 犬を飼っていたことを理由に、畳や障子の劣化を全て借主の責任とみなしている可能性。
原状回復義務の拡大解釈: 「原状回復」の範囲を、不当に広く解釈している可能性。
いずれにしても、契約書の内容と照らし合わせれば、今回の請求が不当である可能性が高いと言えます。
ここからが本番! 畳と障子の張替え費用を返金してもらうための交渉術を伝授します。
1. 内容証明郵便を送付:
まずは、管理会社または大家さん宛に、内容証明郵便で通知書を送付しましょう。内容証明郵便は、送付した内容と日付を公的に証明できるため、言った言わないの水掛け論を防ぐことができます。
内容証明郵便の書き方(例)
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〇〇株式会社 御担当者様
私は、貴社管理物件である〇〇アパート〇〇号室に、20〇〇年〇〇月〇〇日から20〇〇年〇〇月〇〇日まで入居しておりました〇〇(氏名)と申します。
この度、退去に際し、下記の通り、不当な請求を受けておりますので、ご通知いたします。
1. 請求内容
ハウスクリーニング代:30,000円(税込)
畳表替え費用:60,000円(税込)
障子張替え費用:6,600円(税込)
合計:96,600円(税込)
2. 不当請求の理由
上記請求のうち、畳表替え費用60,000円(税込)及び障子張替え費用6,600円(税込)については、賃貸契約書第〇条〇項に「畳の表替え(特に破損はしてないが、次の入居者確保のために行うもの)は賃貸人の負担となる」旨の記載があり、また、障子についても、故意または過失による破損は1枚のみであるため、全額を負担する義務はないと考えます。
3. 請求金額
つきましては、上記不当請求金額66,600円(税込)を、本書面到達後〇日以内に、下記の口座までご返金いただきますようお願い申し上げます。
〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号:〇〇 口座名義:〇〇
4. その他
万一、上記期限内にご返金いただけない場合は、法的措置も検討せざるを得ませんので、予めご了承ください。
以上
20〇〇年〇〇月〇〇日
〇〇(氏名)
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内容証明郵便を送る際の注意点
契約書のコピーを同封: 契約書の該当部分のコピーを同封することで、主張の根拠を明確にしましょう。
具体的な金額を明記: 返金を求める金額を具体的に記載しましょう。
期限を設ける: 返金期限を明確にすることで、相手にプレッシャーを与えましょう。
弁護士に相談: 内容証明郵便の作成に不安がある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
2. 管理会社(または大家さん)との交渉:
内容証明郵便を送付後、管理会社または大家さんから連絡があるはずです。電話やメールだけでなく、直接会って話し合うことも検討しましょう。
交渉のポイント
冷静かつ丁寧に: 感情的にならず、冷静に、丁寧に説明しましょう。
契約書を根拠に: 契約書の内容を根拠に、自身の主張を明確に伝えましょう。
譲歩案も検討: 全額返金が難しい場合は、一部返金など、譲歩案も検討しましょう。
記録を残す: 交渉の内容は、必ず記録に残しておきましょう。
3. 第三者機関への相談:
管理会社(または大家さん)との交渉がうまくいかない場合は、第三者機関に相談することも検討しましょう。
相談できる窓口
消費者センター: 消費者問題に関する相談窓口です。
弁護士会: 弁護士に法律相談ができます。
国民生活センター: 消費生活に関する情報提供や相談を行っています。
4. 法的措置の検討:
第三者機関への相談でも解決しない場合は、最終手段として、法的措置を検討しましょう。少額訴訟や民事調停など、費用や手間を抑えた解決方法もあります。
実際に、ペット可賃貸の退去費用トラブルを解決した事例から、交渉を有利に進めるためのヒントを探りましょう。
事例1: 契約書に「ペットによる損耗は別途協議」と記載されていたため、犬がつけた壁の傷について、修繕費用の減額交渉に成功。
事例2: 退去時の立会いに、専門業者(ハウスクリーニング業者など)に同行してもらい、客観的な意見を伝えてもらったことで、不当な請求を回避。
事例3: 過去の判例や国土交通省のガイドラインなどを参考に、自身の主張を裏付ける証拠を提示し、交渉を有利に進めた。
これらの事例からわかるように、事前の準備と交渉戦略が、退去費用トラブル解決の鍵となります。
今回の経験を活かして、今後の退去費用トラブルを未然に防ぐための対策を講じましょう。
入居前の確認: 契約内容(特に原状回復義務に関する条項)を隅々まで確認し、不明な点は必ず質問しましょう。ペットに関する特約も要チェックです。
入居時の記録: 入居時に、部屋の状態を写真や動画で記録しておきましょう。退去時の比較材料になります。
ペットの飼育環境: ペットによる損耗を防ぐため、ペット用のスペースを設けたり、爪とぎを用意するなど、飼育環境を整えましょう。
定期的なメンテナンス: 畳や障子など、定期的にメンテナンスを行い、劣化を防ぎましょう。
退去時の立会い: 退去時の立会いには、必ず参加しましょう。その場で、費用負担について交渉することができます。
今回は、ペット可賃貸の退去費用トラブルについて、返金交渉のステップと、今後の対策を解説しました。
今回のケースでは、契約書に「畳の表替えは貸主負担」と明記されているため、諦めずに交渉することで、費用を取り戻せる可能性は十分にあります。
そして、今回の経験を活かして、今後の退去費用トラブルを未然に防ぐための対策を講じることが大切です。
ペットとの暮らしは、私たちに癒しと喜びを与えてくれます。しかし、そのためには、飼い主としての責任を果たすとともに、賢く備えることが不可欠です。
今回の記事が、あなたと愛犬との快適な賃貸ライフの一助となれば幸いです。