愛犬との賃貸生活は楽しいものですが、退去時の費用は気になるポイントですよね。特に、ペット可の物件であっても、犬が原因で発生した破損については、どこまで負担する必要があるのか、不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
今回は、このようなお悩みを持つあなたのために、ペット可賃貸の退去費用について、具体的なケースを交えながら詳しく解説していきます。
今回のケースは、3LDKのアパートに1年9ヶ月居住し、ペット可の物件で犬を飼育されていた方が、退去時に襖の破損や壁紙の剥がれ、削れといった犬による破損が見られるという状況です。敷金として7万円を支払っていますが、退去費用がどれくらいになるのか不安を感じています。
このようなケースでは、まず「原状回復義務」と「経年劣化」という2つのポイントを理解することが重要です。
原状回復義務とは、賃貸物件を退去する際に、借りた時の状態に戻す義務のことです。ただし、これはあくまで「通常の使用による損耗」を除いた範囲となります。つまり、日焼けや家具の設置による床のへこみなど、普通に生活していれば発生するような劣化については、借主が負担する必要はありません。
経年劣化とは、時間の経過とともに自然に発生する劣化のことです。例えば、壁紙の変色や畳の摩耗などが挙げられます。これらの経年劣化については、原則として貸主が負担することになっています。
今回のケースでは、襖の破損や壁紙の剥がれ、削れといった犬による破損が見られます。これらの破損は、通常の使用による損耗とは言えず、借主の原状回復義務の範囲に含まれる可能性が高いです。
ただし、ペット可の物件であるという点が、費用負担に影響を与える可能性があります。ペット可の物件は、ペットによる多少の傷や汚れは想定されている場合があり、その分、家賃や敷金が高めに設定されていることがあります。
具体的な費用の相場は、破損の程度や使用されている素材、業者によって大きく異なります。そのため、一概に「〇〇円」と断言することはできません。しかし、襖の張り替えや壁紙の交換費用などを考慮すると、数万円から数十万円程度の費用が発生する可能性も考えられます。
退去費用を抑えるためには、以下の対策を講じることが重要です。
入居時の契約書を確認する
契約書には、原状回復義務の範囲やペットに関する特約などが記載されています。契約内容をしっかりと確認し、自分の権利と義務を把握しましょう。
入居時の写真や動画を保管する
入居時の状態を記録しておくことで、退去時の状態との比較が容易になります。特に、傷や汚れなどがある場合は、写真や動画で記録しておきましょう。
退去前に自分でできる範囲で修繕する
小さな傷や汚れであれば、自分で修繕することで費用を抑えることができます。ただし、無理に修繕するとかえって状態が悪化する可能性もあるため、自信がない場合は専門業者に依頼しましょう。
複数の業者から見積もりを取る
退去費用の見積もりは、必ず複数の業者から取りましょう。見積もりを比較することで、適正な価格を知ることができます。
国土交通省のガイドラインを参考にする
国土交通省は、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」というものを公表しています。このガイドラインには、原状回復義務の範囲や費用負担の考え方などが詳しく解説されています。
このガイドラインを参考に、貸主との交渉に臨むことで、不当な請求を避けることができます。
参考:[国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」](https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentikuhousetk3_000020.html)
ペット専門の不動産会社である「Aペット不動産」の山田さんは、以下のようにアドバイスしています。
「ペット可の物件であっても、犬による破損は原状回復義務の対象となる可能性があります。しかし、ペットの種類や大きさ、飼育方法などによって、破損の程度は大きく異なります。そのため、まずは契約書を確認し、特約事項などを確認することが重要です。また、退去時には、貸主としっかりと話し合い、双方が納得できる形で費用負担を決定することが大切です。」
過去には、以下のような成功事例もあります。
Bさんは、ペット可のマンションに5年間居住し、退去時に壁紙の剥がれや床の傷などが多数見つかりました。貸主からは、50万円の原状回復費用を請求されましたが、Bさんは、国土交通省のガイドラインを参考に、貸主と交渉を行いました。
その結果、壁紙の剥がれは経年劣化によるものと判断され、床の傷についても、通常の使用による損耗とみなされました。最終的に、Bさんが負担する費用は、10万円にまで減額されました。
愛犬との賃貸生活は、かけがえのない思い出となるでしょう。しかし、退去時には、費用に関するトラブルが発生する可能性もあります。今回の記事を参考に、事前にしっかりと対策を講じ、安心して愛犬との賃貸生活を楽しんでください。
退去費用のことでお困りの場合は、専門家や不動産業者に相談することも検討しましょう。