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ペット可賃貸の退去費用、どこまで払うべき?犬との暮らしの原状回復トラブル解決法

#退去費用
 
賃貸退去時の原状回復についての質問です。ガイドライン等を見ても今回の場合どうなるか分からないので質問します。私の借りた賃貸はペット可で1匹の犬と私で住んでいました。入居前に壁紙2面、畳張り替え、障子張り替えをしたそうです。今回特約を組んでいて原状回復費(エアコン洗浄、畳、障子、部屋クリーニング費)はすべて私側が払うとのものが書かれていました。今回は家賃の3倍を超える退去費が請求されました。下の階の住民がモンスターでベランダ、車にイタズラされて耐えられずの退去です。クロスに少しの汚れはありましたが他に目立った傷は一切なく、匂いもないと言われました。ですが最初全て新しいものだったから畳や障子、部屋のクリーニング、全て新しくしろとの事です。まだ大家さんや仲介業者には相談していませんが今回の退去費用は納得がいきません。クロス張り替えは分かりますが、畳の部屋については一切使っていませんでした。どんな風に話し合いをしたら減額になりますか?アドバイスください。

犬と暮らす賃貸物件からの退去、費用が高額で困っていらっしゃるのですね。特に今回は、
ペット可物件であること
入居前にリフォーム済みであること
原状回復に関する特約があること
下の階の住民とのトラブルが原因での退去であること

など、複数の要素が絡み合っているため、どのように対応すべきか悩ましい状況かと思います。

結論から申し上げますと、請求された退去費用が必ずしも全額妥当とは限りません。冷静に状況を整理し、交渉することで減額できる可能性は十分にあります。

この記事では、ペット(犬)と暮らす賃貸物件の退去における原状回復費用の相場や、減額交渉の進め方について、具体的なアドバイスを交えながら解説します。

1. 原状回復義務とは?ペット(犬)との暮らしにおける基本

まず、原状回復義務について正しく理解しておきましょう。

原状回復とは、賃貸物件を退去する際に、借りたときの状態に戻す義務のことです。しかし、これはあくまで「通常の使用による損耗」を除いた範囲となります。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、以下のように定義されています。

> 賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用によって発生した損耗・毀損を復旧すること

つまり、犬と普通に生活していて自然に発生した傷や汚れ(例:犬の歩行によるフローリングの小さな傷、犬の匂い)は、原状回復義務の対象外となる場合があるのです。

しかし、ペット可物件の場合、通常の物件よりも原状回復の範囲が広くなるケースがあります。例えば、
犬が壁や柱を引っ掻いてしまった
犬が粗相をして、床や壁にシミができてしまった
犬の体臭が染み付いてしまった

といった場合は、原状回復費用を負担する必要が出てくる可能性が高いです。

2. 今回のケースの問題点と交渉のポイント

今回のケースで特に注目すべき点は、以下の3点です。

1. 原状回復費用の特約
2. 入居前のリフォーム
3. 下の階の住民とのトラブル

一つずつ見ていきましょう。

2.1 原状回復費用の特約について

今回の契約には、「原状回復費(エアコン洗浄、畳、障子、部屋クリーニング費)はすべて私側が払う」という特約が組まれています。

この特約が有効かどうかは、以下の2つのポイントで判断されます。
特約の内容が明確かつ具体的に記載されているか
特約によって、借主に不利な内容になっていないか

最高裁判所の判例では、特約が有効と認められるためには、

1. 特約の必要性があり、かつ、
2. 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた負担をすることについて認識している

ことが必要とされています。(最高裁平成16年12月16日判決)

今回のケースでは、「エアコン洗浄、畳、障子、部屋クリーニング費」という具体的な項目が記載されているため、一見すると有効な特約のように思えます。

しかし、問題は「すべて私側が払う」という点です。この特約によって、借主であるあなたに一方的に不利な内容になっている可能性があります。

例えば、畳や障子が全く使用されていなかったにも関わらず、新品への交換費用を全額負担しなければならない、というのは不当な負担と言えるでしょう。

2.2 入居前のリフォームについて

入居前に壁紙2面、畳張り替え、障子張り替えが行われている点も、交渉のポイントとなります。

原状回復義務は、あくまで「借りたときの状態に戻す」義務です。つまり、入居前から存在していた傷や汚れ、または入居前にリフォームされた箇所については、原状回復義務を負う必要はありません。

今回のケースでは、入居前に畳や障子が張り替えられているため、これらの箇所について、あなたが原状回復義務を負う範囲は限定的であると考えられます。

2.3 下の階の住民とのトラブルについて

下の階の住民とのトラブルが原因で退去せざるを得なくなった、という点も考慮される可能性があります。

通常、原状回復義務は、借主の故意・過失によって生じた損耗に対して発生します。今回のケースでは、あなたの故意・過失によって物件が損耗したわけではないため、大家さんや管理会社に事情を説明し、費用の減額を交渉してみる価値はあるでしょう。

3. 減額交渉の具体的なステップ

それでは、具体的にどのようなステップで減額交渉を進めていけば良いのでしょうか?

1. 請求内容の確認と精査
2. 証拠の収集
3. 交渉の準備
4. 交渉の実施

一つずつ解説していきます。

3.1 請求内容の確認と精査

まずは、請求された費用の内訳を細かく確認しましょう。
それぞれの項目(畳、障子、クロス、クリーニングなど)の金額は妥当か?
畳や障子の交換が必要な理由は何なのか?
新品への交換でなければならない理由はあるのか?

など、疑問点を洗い出します。

もし内訳が不明瞭な場合は、管理会社に詳細な説明を求めることができます。

3.2 証拠の収集

交渉を有利に進めるためには、証拠を集めることが重要です。

今回のケースで有効な証拠としては、以下のようなものが考えられます。
入居時の写真:入居前の物件の状態を証明する写真(特に、リフォーム箇所の写真)
契約書:原状回復に関する特約の内容を確認
退去時の写真:物件の状態を記録した写真(特に、問題となっている箇所の写真)
第三者の意見書:専門家(不動産鑑定士など)に物件の状態を鑑定してもらい、意見書を作成してもらう(費用はかかりますが、有効な証拠となります)
トラブルに関する記録:下の階の住民とのトラブルに関する記録(日付、内容、対応など)

3.3 交渉の準備

証拠が集まったら、交渉の準備をします。
自分の主張を整理する:今回のケースでは、
特約が無効である可能性
入居前のリフォーム箇所であること
下の階の住民とのトラブルが原因であること
などを主張することになるでしょう。
法的根拠を調べる:国土交通省のガイドラインや、過去の判例などを参考に、自分の主張を裏付ける法的根拠を調べておきましょう。
希望する減額金額を決めておく:根拠に基づいて、自分が納得できる減額金額を具体的に決めておきましょう。

3.4 交渉の実施

準備が整ったら、いよいよ交渉です。

まずは、管理会社に連絡を取り、今回の請求内容について疑問があることを伝え、話し合いの場を設けてもらいましょう。

交渉の際には、以下の点に注意しましょう。
冷静かつ丁寧に:感情的にならず、冷静に話を進めることが大切です。
証拠を提示する:集めた証拠を提示し、自分の主張を裏付けましょう。
法的根拠を示す:調べた法的根拠を示し、相手を説得しましょう。
代替案を提示する:例えば、「畳の交換費用は負担するが、新品ではなく中古品で良いのではないか」など、代替案を提示することで、交渉がスムーズに進むことがあります。
記録を残す:交渉の内容、日時、相手の名前などを記録しておきましょう。

4. 交渉がうまくいかない場合の最終手段

交渉を重ねても、大家さんや管理会社が納得してくれない場合は、以下の最終手段を検討しましょう。
消費者センターに相談する:消費者センターは、消費者からの相談を受け付け、問題解決のためのアドバイスや情報提供を行っています。
弁護士に相談する:弁護士は、法律の専門家です。今回のケースについて、法的アドバイスを求めたり、交渉を依頼したりすることができます。
調停を申し立てる:調停とは、裁判所が関与して、当事者間の話し合いによる解決を目指す手続きです。
訴訟を提起する:訴訟とは、裁判所が判決によって紛争を解決する手続きです。

これらの最終手段は、時間や費用がかかるため、慎重に検討する必要があります。

5. まとめ:諦めずに交渉を!

ペット(犬)と暮らす賃貸物件の退去費用は、高額になるケースも少なくありません。しかし、請求された金額が必ずしも妥当とは限りません。

今回のケースでは、特約の内容、入居前のリフォーム、下の階の住民とのトラブルなど、減額交渉の余地がある要素が複数存在します。

諦めずに、この記事で解説したステップを参考に、大家さんや管理会社と粘り強く交渉してみてください。

この記事のポイント
原状回復義務は、通常の使用による損耗を除いた範囲で発生する
ペット可物件の場合、通常の物件よりも原状回復の範囲が広くなることがある
原状回復費用の特約は、内容によっては無効となる場合がある
入居前のリフォーム箇所については、原状回復義務を負わない
交渉を有利に進めるためには、証拠を集めることが重要
交渉がうまくいかない場合は、消費者センターや弁護士に相談する

今回の記事が、あなたの退去費用に関する悩みを解決する一助となれば幸いです。

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