結論から言うと、「犬OK」と明記されているのに「猫NG」と書かれていない場合、猫を飼うのは避けるべき です。契約書に明記されていなくても、後々トラブルになる可能性が非常に高いからです。
ここでは、その理由と、安心してペットと暮らせる賃貸物件を見つけるための対策を、以下の3つのポイントに分けて解説します。
1. なぜ「犬OK、猫NG」の物件が存在するのか?
2. 契約書に書かれていない場合の落とし穴
3. トラブルを避けてペットと暮らすための対策
「犬OK」と謳っているのに「猫NG」という物件、不思議に思いますよね。これにはいくつかの理由が考えられます。
物件の構造上の問題
猫は犬に比べて身軽で、高い場所に登ったり、狭い隙間に入り込んだりするのが得意です。そのため、物件によっては、猫が壁や柱を傷つけたり、配線をかじったりするリスクが高いと判断される場合があります。特に古い物件や、壁が薄い物件では、猫の爪とぎや鳴き声が近隣住民の迷惑になる可能性も考慮されます。
一方、犬の場合は、散歩の習慣があるため、室内での運動量が比較的少なく、猫ほど壁や柱を傷つけるリスクは低いと考えられます。また、犬種によっては、吠え声が問題になることもありますが、しつけによって改善できる場合もあります。
過去のトラブル事例
過去に猫の飼育が原因で、物件や他の入居者に損害が出たケースがあると、大家さんは猫の飼育に慎重になる傾向があります。例えば、猫が襖や壁をひっかいてしまった、猫の抜け毛が原因でアレルギーを持つ入居者から苦情が来た、などが考えられます。
犬の場合でも、同様のトラブルは起こりえますが、猫に比べてトラブルの頻度が少ない、あるいは対策がしやすいと判断される場合があります。例えば、犬の吠え声対策として、防音性の高いケージを使用したり、しつけ教室に通わせたりするなどの対策が考えられます。
大家さんの個人的な考え
大家さん自身が犬好きで猫が苦手、あるいは猫アレルギーを持っているなどの個人的な理由で、猫の飼育を許可しない場合があります。これは、感情的な問題なので、入居者としては理解しにくいかもしれませんが、大家さんの意向を尊重する必要があります。
もちろん、犬好きの大家さんであれば、犬の飼育に理解を示してくれる可能性が高くなります。しかし、犬種によっては、大型犬や吠えやすい犬種は敬遠されることもあります。
「契約書に猫禁止と書かれていないから大丈夫」と安易に考えるのは非常に危険です。
口頭での約束は証拠にならない
契約時に「犬はOKだけど猫はNGです」と口頭で説明を受けたとしても、契約書に明記されていなければ、後々「言った」「言わない」の水掛け論になる可能性があります。最悪の場合、契約違反として強制退去を求められることもあります。
また、口頭での約束は、大家さんの交代や管理会社の変更などによって、うやむやになってしまうこともあります。そのため、口頭での約束はあくまで参考程度にとどめ、必ず契約書に明記してもらうようにしましょう。
他の入居者からのクレーム
猫を飼っていることが他の入居者に知られた場合、アレルギーを持つ人や動物が苦手な人からクレームが来る可能性があります。特に集合住宅では、様々な人が共同生活を送っているため、自分のペットが他の人に迷惑をかけていないか、常に気を配る必要があります。
クレームの内容によっては、大家さんから猫の飼育を中止するように求められることもあります。最悪の場合、他の入居者との間で訴訟問題に発展する可能性も否定できません。
退去時のトラブル
退去時に、猫が原因で部屋が汚れていたり、傷ついていたりした場合、高額な修繕費用を請求される可能性があります。特に猫は、壁や柱をひっかいたり、カーペットに粗相をしたりすることがあるため、注意が必要です。
契約書に「ペットによる汚損・破損は、入居者の負担で修繕する」という条項が記載されている場合、修繕費用を支払う義務が生じます。修繕費用の金額によっては、敷金だけでは足りず、追加で費用を支払う必要も出てきます。
では、安心してペットと暮らせる賃貸物件を見つけるためには、どのような対策を講じれば良いのでしょうか?
契約前に必ず確認!
不動産屋さんに「犬OK」の物件を紹介されたとしても、猫の飼育が可能かどうかは必ず確認しましょう。口頭だけでなく、契約書に「猫の飼育も可」と明記してもらうことが重要です。もし、契約書に明記してもらえない場合は、他の物件を探すことも検討しましょう。
また、契約書だけでなく、重要事項説明書にもペットに関する条項が記載されているか確認しましょう。重要事項説明書は、契約内容を詳しく説明する書類なので、契約前に必ず目を通しておく必要があります。
ペット可物件専門の不動産屋さんを利用する
ペット可物件専門の不動産屋さんは、ペットと暮らすためのノウハウや情報を持っています。物件選びの相談に乗ってくれるだけでなく、ペットに関するトラブル事例や対策方法なども教えてくれるでしょう。
また、ペット可物件専門の不動産屋さんは、大家さんとの交渉力も高い傾向があります。例えば、猫の飼育を許可してもらうために、猫のしつけ状況や健康状態などを詳しく説明したり、猫が原因で物件に損害を与えた場合の保証などを提案したりすることができます。
ペット保険への加入を検討する
万が一、ペットが原因で物件や他の人に損害を与えてしまった場合に備えて、ペット保険への加入を検討しましょう。ペット保険には、ペットの治療費だけでなく、賠償責任を補償する特約が付いているものもあります。
ペット保険に加入していれば、万が一の事態が発生した場合でも、経済的な負担を軽減することができます。また、ペット保険に加入していることは、大家さんや他の入居者に対して、ペットを飼う責任をきちんと果たそうとしている姿勢を示すことにもつながります。
近隣住民への配慮を忘れずに
ペットを飼う上で最も重要なことは、近隣住民への配慮です。犬の場合は、散歩の時間帯や場所、吠え声などに注意しましょう。猫の場合は、抜け毛や鳴き声、ベランダからの脱走などに注意しましょう。
また、日頃から近隣住民とのコミュニケーションを密にすることも大切です。例えば、犬の散歩中に挨拶をしたり、猫の写真をプレゼントしたりすることで、良好な関係を築くことができます。
万が一、ペットが原因でトラブルが発生した場合は、誠意をもって対応しましょう。謝罪の言葉を述べたり、菓子折りを持参したりすることで、相手の怒りを鎮めることができるかもしれません。
「犬OK」と書かれていても、猫の飼育が許可されているとは限りません。必ず契約前に確認し、契約書に明記してもらうようにしましょう。また、ペット可物件専門の不動産屋さんを利用したり、ペット保険への加入を検討したりすることも有効です。
そして何よりも、近隣住民への配慮を忘れずに、ペットとの快適な生活を送りましょう。