今回は、賃貸戸建てで犬を飼育していることが発覚し、退去を迫られている方からのご相談です。契約書と不動産会社のHPの情報が異なっていたという、非常に困惑する状況ですね。
結論から申し上げますと、契約書の内容が優先されるのが原則ですが、今回のケースでは、不動産会社側の落ち度も考えられ、交渉の余地は十分にあります。
今回は、このような状況に陥った場合の対処法と、少しでも有利に交渉を進めるための具体的なアドバイスをさせていただきます。ぜひ、最後までお読みいただき、冷静に、そして粘り強く対応していきましょう。
今回のケースは、契約書と不動産会社のHPの情報が異なっている点が非常に重要です。
まず、大前提として、契約書は当事者間の合意に基づいて成立するものであり、原則として契約書の内容が優先されます。しかし、今回のケースのように、
不動産会社のHPに「ペット可(犬のみ)」と記載されていた
契約時に詳しい説明がなかった
という状況を考慮すると、不動産会社側にも責任がある可能性が考えられます。
不動産会社は、宅地建物取引業法に基づき、広告表示に関して正確な情報を提供する義務があります。今回のケースでは、HPに「ペット可」と記載されていたにもかかわらず、契約書には「ペット不可」と記載されているという矛盾が生じています。
これは、宅地建物取引業法に違反する可能性があり、不動産会社は、
広告表示の是正義務
損害賠償責任
を負う可能性があります。
不動産会社は、契約締結前に、契約内容や物件に関する重要な事項について、書面を交付して説明する義務があります(重要事項説明)。今回のケースでは、契約時にペット飼育に関する詳しい説明がなかったとのことですので、この説明義務を怠った可能性があります。
重要事項説明が不十分であった場合、契約の取り消しや、損害賠償請求が認められるケースもあります。
契約書に「ペット不可」と記載されている以上、契約違反であることは否めません。しかし、不動産会社側の落ち度も考慮し、退去費用や修繕費用の減額交渉を行うことは可能です。
まずは、不動産会社に対し、HPの広告表示と契約内容が異なっている点、契約時の説明が不十分であった点を指摘しましょう。
その上で、
広告表示を信じてペットを飼育し始めたこと
契約時に十分な説明がなかったため、契約内容を誤認していたこと
を主張し、退去費用や修繕費用の減額を求めましょう。
退去費用や修繕費用の内訳について、具体的な根拠を示すように求めましょう。
例えば、
修繕が必要な箇所
修繕費用の見積もり
などについて、詳細な説明を求めることが重要です。
また、ペットによる損耗があったとしても、通常の使用による損耗と区別し、ペットによる損耗のみを負担するように交渉しましょう。
不動産会社との交渉が難航する場合は、第三者機関への相談を検討しましょう。
例えば、
国民生活センター
都道府県の住宅相談窓口
弁護士
などに相談することで、専門的なアドバイスを受けることができます。
これらの機関は、無料で相談に乗ってくれる場合もありますので、積極的に活用しましょう。
今回のケースでは、毎月の家賃を上乗せしても良いので、今の家でペットと暮らしたいという希望があります。
そこで、不動産会社に対し、ペット共生型賃貸への転換を提案してみましょう。
ペット共生型賃貸とは、ペットとの共生を前提とした賃貸物件のことです。
通常の賃貸物件に比べ、
ペットのための設備(ペット専用の洗い場、リードフックなど)が充実している
ペット飼育に関するルールが明確に定められている
などの特徴があります。
ペット共生型賃貸への転換は、
ペットとの暮らしを継続できる
不動産会社にとっても、空室リスクを軽減できる
というメリットがあります。
今回のケースでは、家賃の上乗せを提案しているため、不動産会社にとってもメリットがあると考えられます。
不動産会社に対し、ペット共生型賃貸への転換を提案する際は、
ペットの種類や大きさ
ペットの飼育状況(しつけの状況、予防接種の有無など)
について、具体的に説明しましょう。
また、ペット共生型賃貸に転換する場合の家賃や、ペット飼育に関するルールについて、事前に確認しておくことが重要です。
もし、ペット共生型賃貸への転換が難しい場合は、中古物件の購入を検討されているとのことですので、少なくとも半年間の猶予を求めるようにしましょう。
引っ越し先の選定
引っ越し準備
ペットの心身のケア
など、引っ越しには多くの時間と労力がかかります。
特に、ペットにとっては、引っ越しは大きなストレスとなる可能性がありますので、十分な準備期間を確保することが重要です。
不動産会社に対し、半年間の猶予を求める際は、
引っ越し先の選定状況
引っ越し準備の進捗状況
ペットの状況
について、具体的に説明しましょう。
また、猶予期間中は、ペットによる損耗がないように、十分な注意を払うことを約束しましょう。
今回のケースは、契約書とHPの情報が異なっていたという、非常に特殊な状況です。
契約書の内容が優先されるのが原則ですが、不動産会社側の落ち度も考慮し、諦めずに交渉を続けましょう。
今回の記事でご紹介した、
不動産会社の落ち度を指摘する
具体的な根拠を示す
第三者機関への相談を検討する
ペット共生型賃貸への転換を提案する
半年間の猶予を求める
などの交渉術を参考に、少しでも有利な条件で解決できるよう、頑張ってください。
応援しています!