今回のケースは、犬との暮らしを楽しむ中で起こりがちな、退去時の原状回復費用に関するトラブルですね。契約書、覚書、そして口頭での説明が食い違っている状況、本当にお気持ちお察しします。
結論から言うと、今回のケースでは、複数の要素が絡み合っているため、一概に「覚書通り」または「契約書通り」になるとは断言できません。 しかし、諦める前に、状況を整理し、可能な限り有利な解決を目指しましょう。
今回のケースを整理すると、以下のようになります。
1. 初期契約: 保証金50万円、礼金20万円、敷引き20万円という内容で契約。
2. 犬を飼育開始時の覚書: 敷引きが10万円増額されるという内容で合意。
3. 契約書の訂正手続き: 契約書の敷引き金額の誤りを指摘し、訂正手続きを行うも、大家さん側の契約書のみが変更されず。
4. 退去時: 大家さん側は契約書通りに敷引きを行い、5万円のみ返金すると主張。
この状況で重要なのは、契約内容が時間とともに変化しているという点です。初期契約から覚書、そして契約書訂正の手続きと、それぞれの段階で異なる合意がなされています。
そして、それぞれの段階で、それを証明する「証拠」がどれだけ揃っているかが、最終的な交渉を左右します。
今回のケースで、あなたが取るべき行動は以下の通りです。
1. 証拠の再確認と整理:
初期の賃貸契約書
犬を飼育開始時の覚書
契約書訂正手続きの領収書
管理会社とのやり取りの記録(メール、手紙など)
入居時の状況を示す写真や動画(任意)
2. 内容証明郵便の送付:
上記の証拠を基に、あなたの主張(契約内容の認識、訂正手続きの経緯、返金額の相違など)を明記した内容証明郵便を大家さん宛に送付します。
内容証明郵便は、あなたの主張を正式に伝えたという証拠になります。
3. 交渉:
内容証明郵便を送付後、大家さんと直接交渉を行います。
交渉では、感情的にならず、証拠に基づいて冷静に話し合いましょう。
必要であれば、弁護士や消費者センターなどの専門機関に相談することも検討しましょう。
4. 調停・訴訟:
交渉が決裂した場合、裁判所での調停や訴訟を検討します。
調停は、裁判官や調停委員が間に入り、当事者間の合意を目指す手続きです。
訴訟は、裁判官が証拠に基づいて判決を下す手続きです。
原則として、契約書と覚書の内容が異なる場合、原則として覚書が優先されます。 覚書は、契約書の内容を後から変更・修正する合意とみなされるためです。
ただし、今回のケースでは、契約書の訂正手続きが行われたにもかかわらず、大家さん側の契約書が変更されていないという点が複雑です。
この場合、契約書訂正手続きの領収書が、契約内容の変更を裏付ける重要な証拠となります。
ペット可物件の契約は、通常の賃貸契約に比べて、特約事項が多く、複雑になりがちです。
特に、犬との暮らしでは、以下のような点に注意が必要です。
ペットの種類や大きさの制限: 犬種や体重によって、飼育が認められない場合があります。
追加の敷金・礼金: ペット飼育の有無によって、敷金や礼金の金額が異なる場合があります。
原状回復義務: ペットによる傷や臭いに対する原状回復義務が、通常よりも厳しくなる場合があります。
近隣への配慮義務: 鳴き声や臭いなど、近隣住民への配慮義務が課される場合があります。
これらの点について、契約時にしっかりと確認し、不明な点は必ず質問するようにしましょう。
また、契約内容を理解した上で、書面で合意することが重要です。口頭での約束は、後々トラブルの原因になることがあります。
過去には、同様のケースで、交渉を有利に進め、納得のいく解決に至った事例も存在します。
証拠の重要性: 契約書、覚書、領収書、メールなど、契約に関するあらゆる証拠を保管し、整理しておくことが重要です。
専門家の活用: 弁護士や不動産鑑定士などの専門家に相談し、法的根拠に基づいたアドバイスを受けることが有効です。
冷静な交渉: 感情的にならず、証拠に基づいて冷静に話し合い、お互いの妥協点を探ることが重要です。
第三者機関の利用: 消費者センターやADR(裁判外紛争解決手続き)などの第三者機関を利用し、中立的な立場から解決を支援してもらうことも可能です。
今回のケースは、契約内容の解釈や証拠の有無によって、結果が大きく左右される可能性があります。
まずは、手元にある証拠を整理し、専門家にも相談しながら、可能な限り有利な解決を目指しましょう。
犬との大切な暮らしを守るために、諦めずに、できることから始めてください。