大家さんが動物嫌いだから、ペット不可の物件を選んだのに…。入居後に周りの人が犬を飼い始めて、なんだか騙された気分。敷金返金に引っ越し代まで請求して、スッキリ退去したい!そんなお気持ち、すごくよく分かります。今回は、そんな状況でどうすれば良いのか、法的な視点も交えながら、具体的な対策をアドバイスしていきますね。

現在住んでいるアパートに入居した際、和室の押し入れに動物がかじったような跡があり、不動産屋に確認したところ、以前の住人が内緒で動物を飼っていたことが判明しました。大家さんは動物嫌いのため、ここはペット不可の物件だと聞いていました。しかし、入居後半年で下の階の人、隣人も犬を飼い始めました。もしペット可の物件なら入居しなかったのに、騙されたような気分です。敷金全額返金、引っ越し代の請求をして退去することは可能でしょうか?不動産屋への話し方も含めて教えてください。

結論:まずは契約内容と経緯の確認から!交渉次第で敷金返金や引っ越し代も

結論から言うと、契約内容や入居の経緯によっては、敷金の返金や引っ越し代を請求できる可能性があります。ただし、そのためには、まずご自身の状況を整理し、法的な根拠に基づいた交渉を行う必要があります。

ステップ1:契約内容と重要事項説明の再確認

まずは、賃貸契約書と入居時に受けた重要事項説明書を再度確認しましょう。特に以下の点に注目してください。
ペット飼育に関する条項:ペットの飼育が禁止されている旨が明記されているか。
契約解除に関する条項:契約解除の条件や違約金について記載されているか。
重要事項説明の内容:不動産会社から「ペット不可」の説明があったことを証明できる記載があるか。

もし契約書にペット飼育禁止の条項があり、重要事項説明でもその旨の説明を受けていた場合、大家さん(または不動産会社)は契約不適合責任を負う可能性があります。

ステップ2:入居時の状況と現在の状況の証拠集め

次に、入居時の状況と現在の状況を客観的に証明できる証拠を集めましょう。
入居時の状況
不動産会社とのやり取りの記録(メール、LINEなど)
物件の写真(内見時のものがあればベスト)
重要事項説明書
現在の状況
他の入居者がペットを飼育している事実を示す証拠(写真、動画、他の入居者の証言など)
ペットの鳴き声や臭いなど、生活に支障が出ている状況を記録したもの(日記、録音など)

これらの証拠は、交渉や法的手続きを行う際に非常に重要な役割を果たします。

ステップ3:不動産会社への相談と交渉

証拠が揃ったら、まずは不動産会社に相談しましょう。
状況の説明:入居時にペット不可であることを確認したにも関わらず、他の入居者がペットを飼育している現状を説明します。
契約不適合責任の追及:契約内容と異なる状況が生じているため、契約不適合責任を追及する旨を伝えます。
希望する解決策の提示:敷金の全額返金と引っ越し代の負担を希望することを明確に伝えましょう。

この際、感情的にならず、冷静に、論理的に話を進めることが重要です。

ステップ4:内容証明郵便の送付(必要に応じて)

不動産会社との交渉が難航する場合や、誠意ある対応が得られない場合は、内容証明郵便を送付することも検討しましょう。

内容証明郵便とは、郵便局が文書の内容を証明してくれるサービスです。送付した日付や文書の内容が記録されるため、後々の証拠として役立ちます。

内容証明郵便には、以下の内容を記載します。
契約内容の概要:契約日、物件の所在地、契約期間、ペット飼育に関する条項など
問題の発生状況:他の入居者がペットを飼育している事実、それによって生じている生活への支障など
契約不適合責任の追及:契約内容と異なる状況が生じているため、契約不適合責任を追及する旨
希望する解決策:敷金の全額返金と引っ越し代の負担を求める旨
回答期限:回答期限を明記し、期限内に回答がない場合は法的措置を検討する旨

ステップ5:専門家への相談(弁護士、消費者センターなど)

内容証明郵便を送付しても解決しない場合は、弁護士や消費者センターなどの専門家に相談しましょう。
弁護士:法的なアドバイスや交渉の代行、訴訟手続きなどを行ってくれます。
消費者センター:消費者問題に関する相談を受け付けており、適切なアドバイスや情報提供をしてくれます。

専門家への相談は費用がかかる場合もありますが、法的知識に基づいた的確なアドバイスを受けることで、問題解決への道が開ける可能性があります。

「契約変更前に入居している私への通達は不要?」について

私の入居以降に動物可との契約変更になったとして、契約変更前に入居している私に対しての通達は無くても良いものでしょうか?

この点についてですが、契約内容の変更は、原則として契約当事者全員の合意が必要です。つまり、あなたの入居後に「動物可」に変更されたとしても、あなたに対して事前の通達や同意を得る手続きがなければ、その変更はあなたには適用されません。

したがって、あなたは依然として「ペット不可」の契約に基づいて生活する権利があります。

類似ケース:ペット不可物件での無許可飼育が発覚した場合

実際に、ペット不可の賃貸物件で無許可でペットを飼育していた入居者に対して、大家さんが契約解除を求めた裁判例があります。

この裁判では、入居者がペットを飼育していたことが契約違反にあたるとして、大家さんの契約解除の主張が認められました。

ただし、このケースでは、ペットの飼育が他の入居者の迷惑になっていたことや、大家さんへの背信行為とみなされたことなどが考慮されています。

今回のケースとは状況が異なりますが、契約内容が重要視されるという点で参考になるでしょう。

弁護士Aさんのアドバイス

「今回のケースでは、まず契約内容と重要事項説明をしっかりと確認し、不動産会社との交渉に臨むことが重要です。交渉の際には、証拠を提示しながら、冷静に、論理的に話を進めるようにしましょう。

もし交渉が難航する場合は、弁護士に相談することも検討してください。弁護士は、法的な知識や経験に基づいて、あなたにとって最善の解決策を提案してくれます。」

まとめ:諦めずに、専門家の力を借りながら解決を目指しましょう

今回のケースでは、契約内容や入居の経緯によっては、敷金の返金や引っ越し代を請求できる可能性があります。まずは、ご自身の状況を整理し、証拠を集め、不動産会社との交渉に臨みましょう。

交渉が難航する場合は、専門家の力を借りながら、諦めずに解決を目指してください。

今回の情報が、あなたの問題解決の一助となれば幸いです。