この質問、本当に大家さんの気持ちが痛いほど伝わってきますね…!せっかく入居者さんのために許可を出したのに、それを「得した」と思われてしまうのは、なんだか裏切られたような気分になるのも無理はありません。
今回は、このようなペット禁止物件での犬の宿泊に関するモヤモヤを解消するために、
現状の整理と問題点の明確化
法的な観点からの費用徴収の可否
トラブルを避けるための対策
について、具体的な解決策を一緒に考えていきましょう。
今回のケース、ポイントは以下の3点です。
1. ペット禁止の賃貸物件である
2. 入居者の親が、月に2回程度、犬を連れて宿泊する
3. 家主は、3日を上限に犬の宿泊を許可している
この状況で、家主さんが不満に感じているのは、
ペットホテル代を浮かせていること
ペット宿泊による物件の汚損・破損リスク
他の入居者からのクレーム
などが考えられます。
これらの問題点を踏まえて、費用徴収について考えていきましょう。
結論から言うと、「ペット宿泊料」として明確な名目で費用を徴収するのは難しいのが現状です。
なぜなら、賃貸借契約は、貸主と借主の合意に基づいて成立するものであり、契約内容にない項目を後から追加するのは、原則として借主の同意が必要になるからです。
今回のケースでは、
賃貸借契約書にペットに関する条項があるか
犬の宿泊を許可する際に、費用に関する合意があったか
が重要なポイントになります。
もし、賃貸借契約書に「ペット禁止」の条項があり、犬の宿泊を許可する際に費用の話が出ていなければ、後から費用を請求するのは難しいでしょう。
ただし、例外もあります。
もし、犬の宿泊によって物件に損害が発生した場合、その損害賠償を請求することは可能です。
例えば、
犬が壁や床を傷つけた
犬の臭いが染み付いてしまった
犬の鳴き声で他の入居者に迷惑をかけた
などの場合、修繕費用や慰謝料を請求できる可能性があります。
しかし、損害賠償を請求するには、損害の事実と金額を明確に証明する必要があります。
そのため、
犬の宿泊前に、物件の状態を写真や動画で記録しておく
犬の宿泊後に、物件の状態をチェックし、損害があれば記録する
損害の見積もりを業者に依頼する
などの準備をしておくことが重要です。
費用を直接徴収するのが難しい場合でも、トラブルを避けるための対策はあります。
1. 入居者とのコミュニケーションを密にする
まずは、入居者とよく話し合い、お互いの理解を深めることが大切です。
なぜペットの宿泊を許可したのか
ペット宿泊によって発生する可能性のある問題点
家主としての懸念点
などを丁寧に説明し、入居者の理解と協力を求めましょう。
その上で、以下のような提案をしてみるのも良いかもしれません。
ペット宿泊に関する覚書を作成する
ペット宿泊のルール(宿泊日数、時間帯、場所など)を明確にし、入居者と家主が署名することで、合意内容を明確化します。
覚書には、
ペットの種類、名前、特徴
宿泊日数、時間帯
宿泊場所
ペットによる損害が発生した場合の責任
近隣住民への配慮
などを記載すると良いでしょう。
ペット保険への加入を義務付ける
ペットが原因で発生した損害を補償するペット保険への加入を義務付けることで、万が一の事態に備えることができます。
2. ペット可物件への引っ越しを検討してもらう
もし、入居者が頻繁に犬を連れてくるようであれば、ペット可物件への引っ越しを検討してもらうのも一つの方法です。
ペット可物件であれば、ペットを飼育するための設備が整っている場合が多く、他の入居者からのクレームも発生しにくいでしょう。
また、入居者にとっても、ペットと一緒に快適に暮らすことができるというメリットがあります。
3. 仲介業者との連携を強化する
今回のケースでは、仲介業者から「ペットホテルに預ける費用が浮いた」という話を聞いたことが、家主さんの不満につながっています。
今後は、仲介業者と連携を強化し、入居者とのコミュニケーションを密にしてもらうように依頼しましょう。
例えば、
入居時に、ペットに関するルールを丁寧に説明してもらう
入居者のペットに関する情報を共有してもらう
入居者からの相談に適切に対応してもらう
など、仲介業者の協力を得ることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
ペット禁止物件での犬の宿泊は、家主と入居者の間でトラブルが発生しやすい問題です。
費用を徴収するのは難しい場合もありますが、入居者とのコミュニケーションを密にし、ルールを明確化することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
大切なのは、お互いを尊重し、Win-Winの関係を築くことです。
今回の記事が、少しでも大家さんのお役に立てれば幸いです。