退去時の費用、気になりますよね。特に、大切な愛犬と暮らしていたお部屋となると、通常の退去よりも費用がかかるのではないかと不安になる方も多いのではないでしょうか。今回は、犬と暮らしていた賃貸物件の退去費用について、具体的なケースを元に、費用相場や対策を解説します。
結論から言うと、犬を飼っていたというだけで壁を全交換ということはありません。しかし、犬の臭いや、質問者様のお部屋のようにカビが発生している状況ですと、通常の使用による損耗とは認められず、修繕費用を請求される可能性があります。
退去費用は、主に以下の項目で構成されています。
原状回復費用:借りたときの状態に戻すための費用です。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、経年劣化や通常の使用による損耗は、家賃に含まれるものとして、貸主が負担することになっています。しかし、故意または過失による損耗や、通常の使用を超える損耗については、借主が負担する必要があります。
ハウスクリーニング費用:お部屋全体を清掃する費用です。契約書にハウスクリーニング費用について記載されている場合は、借主が負担することが一般的です。
その他費用:鍵の交換費用などが含まれる場合があります。
今回のケースでは、犬の臭い、キッチンのカビが原状回復費用に影響する可能性があります。
実際に、犬と暮らしていた賃貸物件の退去費用はどのくらいかかるのでしょうか?具体的なケースを見てみましょう。
【事例1】
契約内容:敷金2ヶ月、礼金なし、家賃7万円
居住期間:2年
犬種:小型犬1匹
退去時の状況:壁に犬の引っかき傷が数箇所、フローリングに軽い汚れ
退去費用:8万円(壁の補修費用、フローリングのクリーニング費用)
【事例2】
契約内容:敷金1ヶ月、礼金1ヶ月、家賃6万円
居住期間:1年
犬種:中型犬2匹
退去時の状況:犬の臭いが強い、壁に多数の汚れ、フローリングに傷
退去費用:20万円(壁の張替え費用、フローリングの補修費用、ハウスクリーニング費用)
これらの事例からわかるように、退去費用は、犬種、飼育状況、お部屋の状態によって大きく異なります。特に、犬の臭いは、壁や床に染み付いてしまうと、クリーニングだけでは落としきれず、張替えが必要になる場合があります。
今回のケースでは、以下の点が考慮されます。
居住期間が短い:9ヶ月という短い期間であるため、通常の使用による損耗は少ないと考えられます。
犬を2頭飼育:1頭よりも2頭の方が、臭いや汚れのリスクは高まります。
キッチンのカビ:これは借主の過失とみなされる可能性が高いです。
これらの点を総合的に考えると、退去費用は、敷金2ヶ月分(12万円)を超える可能性もあります。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、原状回復は、あくまで「借りた当時の状態に戻す」ものではなく、「通常の使用による損耗」は、家賃に含まれるものとして、貸主が負担することになっています。
しかし、今回のケースでは、犬の臭いやキッチンのカビは、「通常の使用による損耗」とは認められない可能性があります。そのため、これらの修繕費用は、借主が負担する必要があるかもしれません。
退去費用を抑えるためには、退去前にできることがあります。
1. お部屋の掃除
徹底的な掃除:壁、床、窓、換気扇など、お部屋全体を丁寧に掃除しましょう。特に、犬の臭いが気になる場合は、消臭剤などを使って、臭いをできる限り取り除くようにしましょう。
カビの除去:キッチンのカビは、カビ取り剤などを使って、できる限り除去しましょう。
2. 契約書の確認
原状回復義務の範囲:契約書に、原状回復義務の範囲が記載されているか確認しましょう。
特約条項:特約条項に、犬に関する条項(ペットクリーニング費用など)が記載されているか確認しましょう。
3. 証拠の確保
入居時の写真:入居時の写真があれば、退去時の状態と比較することができます。
退去時の写真:退去前に、お部屋の状態を写真に撮っておきましょう。
4. 不動産会社との交渉
費用の内訳の確認:不動産会社から提示された退去費用の内訳を確認し、不明な点があれば質問しましょう。
交渉:高額な費用を請求された場合は、国土交通省のガイドラインなどを参考に、交渉してみましょう。
もし、不動産会社との交渉がうまくいかない場合は、弁護士や消費者センターなどの専門機関に相談することも検討しましょう。
弁護士:法律の専門家として、法的なアドバイスや交渉の代行をしてくれます。
消費者センター:消費者からの相談を受け付けており、トラブル解決のサポートをしてくれます。
犬との暮らしは、私たちに癒しと喜びを与えてくれます。しかし、退去時には、費用が発生する可能性があることを理解しておく必要があります。
今回の記事を参考に、退去前にできることを行い、不動産会社との交渉に臨みましょう。もし、納得できない場合は、専門機関に相談することも検討しましょう。
賢く退去して、次のステップへ進んでくださいね。