退去時の費用、特にペットと暮らしている場合は気になりますよね。今回は、犬との生活で床が傷んでしまった場合の修繕費について、具体的な事例を交えながら、できるだけ費用を抑えるための対策を解説します。
ペット可物件は、ペットとの共生を前提としているため、通常の賃貸物件よりも退去時の費用が高くなる傾向があります。特に、犬や猫などのペットによる傷や汚れは、原状回復義務の対象となることが多いです。今回のケースでは、犬のおしっこによる床の盛り上がりが問題となっています。
実際に、ペット可物件で退去した方の事例を見てみましょう。
Aさんのケース(3LDK、犬1匹、居住年数4年)
退去費用合計:35万円
内訳:
床の張替え費用:20万円(リビング、廊下の一部)
壁紙の張替え費用:10万円(犬が引っ掻いた箇所)
ハウスクリーニング費用:5万円
Aさんの場合、床の張替え費用が最も高額でした。犬のおしっこが染み込んでしまい、広範囲にわたって床材が変色・劣化していたため、張替えが必要となりました。
Bさんのケース(2LDK、犬2匹、居住年数2年)
退去費用合計:18万円
内訳:
床の補修費用:8万円(部分的な補修)
消臭消毒費用:5万円
ハウスクリーニング費用:5万円
Bさんの場合、床の傷みは比較的軽度だったため、部分的な補修で済みました。しかし、犬の臭いが染み付いていたため、消臭消毒費用が発生しました。
これらの事例からわかるように、退去費用はペットの種類、数、飼育状況、物件の状態によって大きく異なります。
一般的に、ペット可物件の退去費用は、通常の賃貸物件よりも10万円~30万円程度高くなることが多いです。しかし、これはあくまで目安であり、実際の費用は個別の状況によって異なります。
犬のおしっこは、放置すると床材に染み込み、変色や悪臭の原因となります。特に、フローリング材は水分に弱いため、おしっこが染み込むと膨張したり、剥がれたりすることがあります。また、おしっこに含まれる成分が床材を腐食させ、カビやダニの発生を促すこともあります。
このような状態になると、単なる清掃では原状回復が難しく、床材の張替えや補修が必要となるため、高額な費用が発生してしまうのです。
では、退去費用をできるだけ抑えるためには、どのような対策を講じれば良いのでしょうか?
1. 日頃の清掃を徹底する
犬がおしっこをしてしまった場合は、すぐに拭き取り、消毒するようにしましょう。市販のペット用消臭剤や、重曹水などを使用するのも効果的です。
また、定期的に床のワックスがけを行うことで、床材の保護にもつながります。
2. ペット用マットやシートを活用する
犬がおしっこをしやすい場所には、ペット用マットやシートを敷いて、床材への染み込みを防ぎましょう。特に、トイレの場所や、犬がよく寝る場所には、必ず敷くようにしましょう。
3. 定期的な換気を行う
室内の換気を定期的に行うことで、湿気を防ぎ、カビやダニの発生を抑制することができます。また、犬の臭いがこもるのを防ぐ効果もあります。
4. 退去前にできる範囲で清掃・補修を行う
退去前に、自分できる範囲で清掃や補修を行いましょう。例えば、軽い汚れであれば、市販のクリーナーで落とすことができます。また、小さな傷であれば、補修材で目立たなくすることも可能です。
ただし、無理に補修しようとすると、かえって状態が悪化してしまうこともあるので、注意が必要です。
5. 不動産会社と交渉する
退去費用が高額になりそうな場合は、不動産会社と交渉してみましょう。例えば、修繕費用の見積もりを詳しく確認したり、分割払いを交渉したりすることができます。
また、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考に、自身の負担割合について主張することも可能です。
6. ペット保険の活用を検討する
ペット保険の中には、ペットが原因で発生した損害賠償責任を補償するものがあります。加入している場合は、保険会社に相談してみましょう。
7. 専門業者に相談する
床の傷みがひどい場合や、自分で補修するのが難しい場合は、専門業者に相談してみましょう。専門業者であれば、適切な方法で補修を行ってくれるため、費用を抑えることができる場合があります。
Cさんは、犬が壁を引っ掻いてしまったため、壁紙の張替え費用として15万円を請求されました。しかし、Cさんは、壁紙の耐用年数や、犬の引っ掻き傷が通常の使用による損耗に含まれる可能性などを主張し、不動産会社と交渉しました。
その結果、Cさんは壁紙の張替え費用を5万円に減額してもらうことができました。
原状回復義務とは、賃貸物件を退去する際に、借りたときの状態に戻す義務のことです。しかし、これはあくまで「通常の使用による損耗」を除いた範囲となります。
例えば、日焼けによる壁紙の変色や、家具の設置による床のへこみなどは、通常の使用による損耗とみなされるため、借主が費用を負担する必要はありません。
しかし、ペットによる傷や汚れは、通常の使用による損耗とはみなされないことが多いため、借主が費用を負担する必要がある場合があります。
賃貸契約書には、原状回復義務に関する条項が記載されています。契約書の内容をよく確認し、自身の権利と義務を把握しておきましょう。
特に、ペットに関する特約がある場合は、注意が必要です。特約には、ペットによる損害に対する責任や、退去時の費用負担について、詳細な規定が設けられていることがあります。
ペットとの暮らしは、喜びと癒しを与えてくれますが、退去時の費用という問題もつきものです。日頃の清掃や対策を徹底し、万が一の際には不動産会社と交渉することで、費用を抑えることができます。
今回の記事が、皆様のペットとの暮らしをより豊かにするための参考になれば幸いです。