愛犬との散歩中に自転車とぶつかってしまい、相手の方の治療費を請求されているのですね。しかも、警察の現場検証まで入って、どう対応すべきか頭を悩ませていることと思います。
結論から言うと、このケースでは、飼い主であるあなたに過失がないとは言い切れませんが、全額を負担する必要もないと考えられます。今回は、愛犬との散歩中の事故という状況を考慮しつつ、過失割合や対応について、具体的なアドバイスをさせていただきます。
まずは、事故の状況を冷静に整理することが大切です。
事故発生場所: 河川敷の遊歩道
時間帯: 朝7時過ぎ
状況: 自転車が後方から接近し、犬と接触。相手は転倒し鎖骨骨折
リード: フレキシリード使用
注意喚起: 自転車のベルは鳴らされず
禁止事項: ペット禁止、自転車禁止の表示はなし
これらの情報を整理することで、過失割合を判断する上で重要な要素が見えてきます。
今回のケースで、あなたの過失が問われる可能性があるのは、犬を制御する義務を怠ったかどうかです。
民法718条には、動物の占有者の責任について以下のように定められています。
動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしていたときは、この限りでない。
つまり、犬の散歩においては、犬が人に危害を加えないように、適切に制御する義務があるということです。フレキシリードを使用していたとのことですが、以下の点が重要になります。
リードの長さ: 周囲の状況に合わせて、犬を制御できる長さに調整していたか
犬の行動: 犬が急に走り出すなど、予見できない行動をとる可能性はなかったか
周囲への配慮: 他の通行人や自転車に注意を払い、安全な距離を保っていたか
これらの点を考慮し、あなたが犬を適切に制御できていたかどうかで、過失割合が大きく変わってきます。
一方で、自転車側にも注意義務があります。
前方不注意: 前方をよく見て運転していたか
安全速度: 周囲の状況に合わせて安全な速度で走行していたか
ベルの使用: 歩行者や犬に注意を促すためにベルを使用していたか
特に、今回は「自転車の人は私に早くから気付いていたはず」とのことですので、前方不注意や安全速度違反が認められる可能性があります。また、「注意喚起のベルは鳴らされていません」という点も、自転車側の過失を裏付ける要素となります。
過去の判例を参考にすると、犬の散歩中の事故における過失割合は、状況によって大きく異なります。
一般的には、以下のような要素が考慮されます。
犬種: 大型犬や攻撃的な犬種の場合は、飼い主の過失が大きくなる傾向があります。
場所: 人通りの多い場所や狭い道では、飼い主の注意義務がより高くなります。
リードの有無: リードを付けていない場合は、飼い主の過失が大きくなる傾向があります。
今回のケースでは、河川敷の遊歩道で、ペット禁止の表示もなく、他の犬も散歩している状況ですので、飼い主の過失が著しく大きいとは言えないでしょう。
ただし、フレキシリードを使用していたこと、犬が急に走り出す可能性があったことなどを考慮すると、飼い主:自転車=3:7~5:5程度の過失割合になる可能性もあります。
相手の方から治療費を請求されていますが、全額を支払う必要はありません。
まずは、相手の方と話し合い、過失割合について合意を目指しましょう。その上で、合意した過失割合に応じて治療費を負担することになります。
もし、話し合いが難航する場合は、弁護士に相談することも検討しましょう。弁護士は、法的な知識や交渉力を持っており、あなたの代わりに相手方と交渉してくれます。
1. 事故状況の記録: 事故の日時、場所、状況、相手の氏名・連絡先などを詳細に記録しておきましょう。写真や動画があれば、証拠として残しておくと役立ちます。
2. 保険の確認: 加入している保険(自動車保険、火災保険など)に、個人賠償責任保険が付帯していないか確認しましょう。個人賠償責任保険は、他人に怪我をさせたり、物を壊したりした場合の損害賠償金を補償してくれるものです。
3. 専門家への相談: 弁護士や行政書士などの専門家に相談し、今後の対応についてアドバイスをもらいましょう。無料相談などを利用するのもおすすめです。
今回の事故を教訓に、今後の散歩では以下の点に注意しましょう。
リードの長さを適切に調整する: 周囲の状況に合わせて、犬を制御できる長さにリードを調整しましょう。人通りの多い場所や狭い道では、短く持つようにしましょう。
犬の行動に注意する: 犬が急に走り出すなど、予期せぬ行動をとる可能性を常に考慮し、注意深く観察しましょう。
周囲への配慮を心がける: 他の通行人や自転車に注意を払い、安全な距離を保ちましょう。
しつけを徹底する: 犬に「待て」「お座り」などの基本的な指示を教え、散歩中に制御できるようにしましょう。
愛犬との散歩は、飼い主にとっても犬にとっても楽しい時間ですが、常に危険が伴うことを忘れてはいけません。今回の事故を教訓に、安全に配慮した散歩を心がけましょう。
今回のケースでは、過失割合は状況によって異なりますが、全額を負担する必要はないと考えられます。まずは、相手の方と話し合い、合意を目指しましょう。話し合いが難航する場合は、専門家に相談することも検討しましょう。
愛犬との散歩が、あなたと愛犬にとって、これからも安全で楽しい時間となることを願っています。