更新直前に家賃の値上げ、もしくは引越しを迫られるというのは、非常に困惑する状況ですね。特に、入居時にペットの多頭飼育を伝えて承諾を得ている場合は、納得がいかないのも当然です。しかし、感情的にならず、冷静に状況を整理し、適切な対応を取ることが重要です。
この記事では、同様のケースに詳しい専門家の意見を参考に、具体的な対応策を解説します。
ある日、愛犬家であるAさんのもとに、突然不動産屋から電話がかかってきました。Aさんは、パグ6匹と一軒家の賃貸物件で暮らしています。物件はペット可で、入居時に6匹のパグを飼育することを伝えて、承諾を得ていました。
「Aさん、実は近隣の方から、犬の匂いに関する苦情が出ておりまして…」
電話口の不動産屋の声は、どこか申し訳なさそうです。
「つきましては、大家さんが『消毒代』という名目で、家賃を少し上げさせていただくか、もしくは、引越しをご検討いただきたいとのことです。」
Aさんは耳を疑いました。更新の確認をした際、更新料などの費用を払えば、現状維持で更新できると聞いていたからです。契約書も、あとはAさんが署名捺印するだけの状態でした。
「そんな…急に言われても困ります。入居時にちゃんと伝えていたのに…」
Aさんは、途方に暮れてしまいました。
Aさんのように、ペット可物件で多頭飼育をしている場合、近隣住民からの苦情をきっかけに、家賃の値上げや退去を求められるケースは少なくありません。しかし、泣き寝入りする必要はありません。Aさんのケースを参考に、具体的な解決策を検討してみましょう。
まずは、賃貸契約書を隅々まで確認しましょう。特に、以下の点に注目してください。
ペットに関する条項:飼育可能なペットの種類、数、大きさなどが明記されているか。
特約事項:入居時に交わした、ペットに関する特別な約束事(例:匂い対策の義務など)が記載されているか。
更新に関する条項:更新時の条件変更に関する規定があるか。
Aさんの場合、入居時に6匹のパグを飼育することを伝えて承諾を得ているため、契約書にその旨が記載されているか、もしくは、書面での合意がなくても、不動産屋が承諾した事実を証明できるメールや会話の録音などが残っていれば、Aさんに有利に働く可能性があります。
近隣住民からの苦情の原因が、本当に犬の匂いであるのかを特定する必要があります。以下の点を確認してみましょう。
換気状況:室内の換気を十分に行っているか。
清掃状況:犬の排泄物や抜け毛の清掃は適切に行っているか。
消臭対策:消臭剤や空気清浄機などを活用しているか。
もし、匂いの原因が特定できた場合は、できる範囲で対策を講じましょう。例えば、以下のような対策が考えられます。
換気を徹底する:定期的に窓を開け、空気の入れ替えを行う。
こまめな清掃:犬の排泄物はすぐに処理し、室内を清潔に保つ。
消臭剤の活用:ペット用の消臭剤や空気清浄機を使用する。
トリミング:定期的にトリミングを行い、抜け毛を減らす。
犬用シャンプー:匂いを抑える効果のある犬用シャンプーを使用する。
Aさんの場合、6匹のパグを飼育しているため、匂い対策は特に重要です。専門業者に依頼して、定期的に室内全体の消臭・消毒を行うことも検討してみましょう。
契約内容を確認し、匂い対策を講じた上で、不動産屋と交渉を行いましょう。以下の点を意識して、冷静かつ論理的に交渉を進めることが重要です。
入居時の合意:入居時に6匹のパグを飼育することを伝えて承諾を得ていることを主張する。
契約内容の遵守:契約書に違反する行為はしていないことを説明する。
匂い対策の実施:匂い対策を講じていることを具体的に説明する。
家賃値上げの根拠:家賃値上げの根拠を明確にするよう求める。
第三者への相談:必要に応じて、弁護士や消費者センターなどの専門機関に相談することを伝える。
Aさんの場合、契約書がまだ相手側に渡っていないため、交渉の余地は十分にあります。まずは、契約内容を再確認し、匂い対策を講じた上で、不動産屋と粘り強く交渉を行いましょう。
不動産屋との交渉が難航する場合は、弁護士や消費者センターなどの専門機関に相談することも検討しましょう。専門家のアドバイスを受けることで、法的な観点から問題点を整理し、適切な解決策を見つけることができます。
弁護士:法律の専門家として、契約内容の解釈や交渉の代理などを行ってくれます。
消費者センター:消費者からの相談を受け付け、事業者との間に入って紛争解決を支援してくれます。
Aさんの場合、契約更新直前という状況であり、時間的な余裕がありません。早めに専門家に相談し、アドバイスを受けることをおすすめします。
どうしても交渉がうまくいかない場合は、引越しも視野に入れる必要があります。ペットと快適に暮らせる物件を探す際には、以下の点に注意しましょう。
ペット可物件:ペットの種類や数、大きさなどが制限されていないか確認する。
周辺環境:散歩コースや動物病院など、ペットにとって快適な環境が整っているか確認する。
防音対策:鳴き声などが近隣住民に迷惑をかけないよう、防音対策が施されているか確認する。
初期費用:敷金や礼金、ペット飼育料など、初期費用がどのくらいかかるか確認する。
Aさんの場合、6匹のパグを飼育しているため、多頭飼育に対応した物件を探す必要があります。専門の不動産会社に相談し、希望に合った物件を探してもらうと良いでしょう。
ペットとの暮らしは、私たちに癒しと喜びを与えてくれます。しかし、賃貸物件でのペット飼育には、様々なトラブルがつきものです。今回のAさんのケースのように、予期せぬ問題が発生することもあります。
しかし、諦めずに、冷静に状況を整理し、適切な対応を取ることで、必ず解決策は見つかります。契約内容の確認、匂い対策、不動産屋との交渉、専門家への相談など、できることから始めましょう。
そして、何よりも大切なのは、ペットとの快適な暮らしを守りたいという強い気持ちです。その気持ちがあれば、どんな困難も乗り越えられるはずです。