犬との暮らしは楽しいものですが、賃貸物件のフローリングのメンテナンスは悩みの種ですよね。特に、おしっこや抜け毛はフローリングの天敵。今回は、フローリングの艶がなくなってしまった場合の対処法と、退去時の修繕費について、犬との暮らしに詳しい専門家が徹底解説します。
フローリングの修繕費が敷金から差し引かれるかどうかは、契約内容とフローリングの損傷状況によって異なります。まずは賃貸契約書を確認し、「原状回復義務」の範囲を確認しましょう。
一般的に、経年劣化や通常の使用による損耗は、原状回復義務に含まれません。しかし、故意や過失による損傷、例えば、犬のおしっこを放置してフローリングが変色してしまった場合などは、修繕費を請求される可能性があります。
フローリングの艶がなくなる原因はいくつか考えられます。
洗剤の成分: アルカリ性や研磨剤入りの洗剤は、フローリングの表面を傷つけ、艶を奪うことがあります。
水分: フローリングに水分が長時間付着すると、変色や剥がれの原因になります。犬のおしっこを放置すると、特に注意が必要です。
摩擦: 犬の爪や粗いモップなどでフローリングを強く擦ると、表面が傷つき、艶がなくなることがあります。
ここでは、フローリングのトラブル事例と、その解決策をいくつかご紹介します。
ケース1:犬のおしっこによる変色
状況: 犬がおしっこをフローリングにしてしまい、すぐに拭き取ったものの、時間が経つとシミになってしまった。
対策:
1. 初期対応: まずは、おしっこを吸い取れるだけ吸い取ります。
2. 重曹ペースト: 重曹と水を2:1の割合で混ぜてペーストを作り、シミの上に塗ります。30分ほど置いてから、水拭きし、乾拭きします。
3. 専用クリーナー: それでも落ちない場合は、ペット用のフローリングクリーナーを試してみましょう。
4. 業者への相談: 広範囲の変色や、重度の場合は、専門業者に相談することをおすすめします。
ケース2:洗剤による艶の喪失
状況: フローリングを拭き掃除したところ、艶がなくなり、まだらになってしまった。
対策:
1. ワックス剥離: 古いワックスが原因の場合、ワックス剥離剤を使用して古いワックスを剥がします。
2. 中性洗剤: 中性洗剤を薄めた水で拭き掃除をし、洗剤成分をしっかりと拭き取ります。
3. ワックス: フローリングの種類に合ったワックスを塗布します。ペット対応の滑り止め効果のあるワックスがおすすめです。
ケース3:犬の爪による傷
状況: 犬の爪でフローリングに細かい傷がついてしまった。
対策:
1. 傷の補修: 市販のフローリング傷補修剤で傷を埋めます。
2. ワックス: 傷を埋めた後、ワックスを塗布して保護します。
3. カーペット: 傷がつきやすい場所にカーペットやマットを敷きましょう。
退去時の修繕費は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が参考になります。このガイドラインでは、原状回復義務の範囲について、以下のように定められています。
借主の負担となるもの: 故意・過失による損傷、通常の使用を超える損耗
貸主の負担となるもの: 経年劣化、通常の使用による損耗
つまり、犬の飼育が原因でフローリングが損傷した場合でも、通常の使用範囲内であれば、修繕費を請求されることはありません。しかし、おしっこを放置してフローリングが変色してしまった場合などは、借主の負担となる可能性が高くなります。
フローリングの補修を自分で行うか、業者に依頼するかは、損傷の程度や範囲、自分のスキルなどを考慮して判断しましょう。
自分でできること: 軽微な傷の補修、ワックスがけ
業者に依頼すべきこと: 広範囲の変色、剥がれ、専門的な技術が必要な補修
業者に依頼する場合は、複数の業者から見積もりを取り、費用や作業内容を比較検討しましょう。ペット可物件の修繕に慣れている業者を選ぶと安心です。
フローリングのトラブルを防ぐためには、日頃のケアが非常に重要です。
こまめな掃除: 抜け毛やおしっこは、こまめに掃除しましょう。
適切な洗剤: フローリングの種類に合った中性洗剤を使用しましょう。
滑り止め対策: 犬が滑らないように、滑り止めワックスやカーペットを使用しましょう。
爪の手入れ: 定期的に爪を切ることで、フローリングへの傷つきを軽減できます。
ペット用マット: 汚れやすい場所や、犬がよくいる場所にペット用マットを敷きましょう。防水性、防臭性のあるものを選ぶと、お手入れが簡単です。
消臭対策: 犬のニオイが気になる場合は、ペット用の消臭剤を使用しましょう。フローリングに直接スプレーするのではなく、空気中に散布するタイプがおすすめです。
換気: 定期的に換気を行い、室内の湿度を調整しましょう。湿気がこもると、フローリングの劣化を早める原因になります。
これからペットと暮らせる賃貸物件を探す方は、以下の点に注意して物件を選びましょう。
ペット可の条件: 犬種や頭数制限の有無を確認しましょう。
フローリングの素材: ペット対応のフローリング(傷がつきにくい、滑りにくい)が使用されているか確認しましょう。
共用部分の設備: ペット用の足洗い場や、散歩後の立ち寄りスペースなどがあると便利です。
周辺環境: 動物病院やペットショップ、ドッグランなどが近くにあると、犬との生活がより快適になります。
犬との暮らしは、私たちに癒しと喜びを与えてくれます。しかし、賃貸物件では、フローリングのメンテナンスなど、注意すべき点も多くあります。日頃のケアをしっかりと行い、退去時のトラブルを未然に防ぎましょう。もしもの時は、専門家のアドバイスを参考に、適切な対処をしてくださいね。