大家さん、確定申告の時期は何かと頭を悩ませますよね。特に、ペット可物件の場合、退去後の修繕費が予想以上にかさむことも…。今回は、犬の尿による床や壁の修繕費79万円を、確定申告でどのように処理すべきか、具体的なケースを交えながら解説します。
原則として、退去者の原状回復義務を超える修繕費は、修繕費として計上できます。しかし、全額が認められるかどうかは、状況によって判断が分かれることも。この記事では、計上できるケースとそうでないケース、そして具体的な仕訳方法まで、詳しく解説していきます。
賃貸物件の修繕費について質問です。昨年10月に退去された方が犬を飼っており、床や壁におしっこの染みができていました。修繕費として79万円かかりましたが、全額を修繕費として計上できますか?また、12月に修理が完了し、支払いは1月31日に行いましたが、18年度の計上になるのでしょうか?
山田さん(仮名)は、都内で築20年のアパートを経営する大家さんです。数年前からペット可物件として募集したところ、入居率が大幅にアップ。しかし、退去後の修繕費が以前よりも増えるという悩みを抱えていました。
今回、10年間入居していたAさん(仮名)が退去。室内を確認したところ、犬の尿による床や壁の染みが酷く、専門業者に依頼して大規模な修繕を行うことになりました。費用は合計79万円。山田さんは、この費用を確定申告で修繕費として計上できるのか、税理士のB先生(仮名)に相談することにしました。
B先生は、山田さんの状況を詳しくヒアリングした後、以下のポイントを説明しました。
1. 修繕費の定義:
修繕費とは、建物の維持管理や原状回復のために支出した費用のこと。ただし、建物の価値を高めるような改良工事や資本的支出は、修繕費ではなく資産として計上する必要があります。
2. 今回のケースの判断:
Aさんのケースでは、犬の尿による染みは、通常の損耗とは言えません。Aさんがペットを飼育していたこと、そしてそのペットが原因で床や壁に損害を与えたことを考えると、Aさんには原状回復義務があります。
3. 原状回復義務の範囲:
しかし、原状回復義務の範囲は、契約内容や判例によって異なります。例えば、契約書に「ペットによる損害は全額借主負担」と明記されていれば、Aさんに79万円全額を請求できる可能性があります。
4. 修繕費として計上できる金額:
Aさんに請求できる金額を差し引いた残りの金額は、修繕費として計上できます。例えば、Aさんに20万円を請求し、実際に回収できた場合、残りの59万円は修繕費として計上できます。
5. 計上時期:
修繕が完了し、費用を支払った日が属する年度に計上します。Aさんのケースでは、1月31日に支払いをしているので、18年度の計上となります。
B先生は、山田さんに具体的な仕訳方法をアドバイスしました。
Aさんに20万円を請求し、回収できた場合:
(借方)現金預金 20万円
(貸方)未収入金 20万円
修繕費として計上する場合:
(借方)修繕費 59万円
(貸方)未払金 59万円
未払金を支払った場合:
(借方)未払金 59万円
(貸方)現金預金 59万円
B先生は最後に、山田さんにペット可物件の契約書を見直すことを勧めました。
特約条項の追加:
「ペットによる損害は、借主が原状回復費用を負担する」という特約条項を追加することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
敷金の増額:
ペットによる損害を考慮して、敷金を増額することも有効です。
ペット保険の加入義務:
借主にペット保険の加入を義務付けることで、万が一の損害に備えることができます。
犬の尿による修繕費は、状況によって修繕費として計上できる金額が異なります。今回のケースでは、Aさんに請求できる金額を差し引いた残りの金額を、修繕費として計上することができます。
確定申告で迷った場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、税務上のリスクを回避し、安心して確定申告を行うことができます。