愛犬との暮らしは、かけがえのない喜びをもたらしてくれますよね。しかし、賃貸住宅でのペット飼育をめぐっては、予期せぬトラブルが発生することも…。今回は、入居後に突然ペット(犬)の飼育禁止を言い渡された場合の対処法について、Q&A形式で詳しく解説していきます。
契約書に「ペット禁止」と明記されている場合、原則としてペットを飼育することはできません。しかし、今回のケースのように、
不動産屋から「管理会社に確認済みで黙認」という説明があった
入居前から犬を飼育していることを伝えて物件を選んだ
オーナーが犬の存在を知りながら、具体的な指示(エレベーターの使用禁止など)を出していた
これらの状況を総合的に考えると、「黙示の合意」があったと主張できる可能性があります。
「黙示の合意」とは、書面による明確な合意はないものの、当事者間の言動や状況から、合意があったと推測されることをいいます。今回のケースでは、不動産屋の説明やオーナーの言動から、犬の飼育を黙認する合意があったと解釈できる余地があります。
他の住民が犬を飼育しているにもかかわらず、あなただけに犬の処分を求めるのは、不公平と言えるでしょう。
ただし、他の住民が犬を飼育している状況が、
以前から黙認されていた
今回の苦情を受けて、他の住民にも同様の通達が出されている
など、状況によって判断が異なります。まずは、他の住民に今回の通達があったかどうかを確認してみましょう。もし、あなただけに処分通達が出されている場合、オーナーに対して理由の説明を求めることができます。
オーナーが「他の入居者からの苦情」を理由に犬の処分を求める場合、その苦情が正当な理由に基づいているかどうかを検討する必要があります。
例えば、
あなたの犬が、夜中に吠えて騒音を立てている
共用部分を汚している
他の住民に危害を加える恐れがある
などの具体的な迷惑行為があれば、オーナーの処分通達は正当と判断される可能性があります。
しかし、今回のケースでは、苦情の内容が「動物飼育禁止の契約に従い、以前から飼育していた犬を親戚に譲って入居したのにもかかわらず、犬を飼っている住人がいるのは納得出来ない」というものであり、あなたの犬の具体的な迷惑行為を指摘するものではありません。
このような場合、オーナーの処分通達は、正当な理由に基づいているとは言えない可能性があります。
愛犬との生活を守るために、以下のステップで具体的な対処を進めていきましょう。
1. 証拠の収集:
不動産屋とのやり取り(「黙認」に関する説明)
オーナーとのやり取り(エレベーター使用禁止指示など)
他の犬飼育者の存在を示す証拠(写真、証言など)
犬が迷惑をかけていないことを示す証拠(しつけ教室の証明書、近隣住民からの手紙など)
2. 内容証明郵便の送付:
オーナーに対し、犬の飼育を認める黙示の合意があったと主張
今回の処分通達は不当であると主張
現状維持を求める
回答期限を設ける
3. 不動産屋との交渉:
今回の経緯を説明し、協力を求める
オーナーとの交渉を依頼する
他の犬飼育者への対応状況を確認する
4. 弁護士への相談:
今回のケースについて、法的なアドバイスを求める
訴訟の可能性について検討する
弁護士に交渉を依頼する
弁護士への相談は、できるだけ早い段階で行うことをおすすめします。弁護士に相談することで、
今回のケースの法的問題点
今後の対応策
訴訟の可能性
などについて、専門的なアドバイスを受けることができます。
弁護士費用は、相談料、着手金、報酬金などに分かれています。相談料は、30分5,000円程度が一般的です。着手金と報酬金は、弁護士や事件の内容によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。
法テラスを利用すれば、弁護士費用を立て替えてもらったり、無料法律相談を受けることができます。
裁判になった場合、勝訴できるかどうかは、今回のケースの具体的な状況によって異なります。
裁判所は、
契約書の記載内容
当事者間の合意
犬の飼育状況
他の住民への影響
などを総合的に考慮して判断します。
今回のケースでは、
不動産屋から「黙認」という説明があった
オーナーが犬の存在を知りながら、具体的な指示を出していた
犬が具体的な迷惑行為を行っていない
などの事情を考慮すると、勝訴できる可能性は十分にあります。
ただし、裁判には時間と費用がかかります。弁護士とよく相談し、訴訟のリスクとメリットを十分に検討した上で、最終的な判断を下しましょう。
今後、同じようなトラブルに遭わないために、賃貸契約を結ぶ際には、以下の点に注意しましょう。
ペット飼育に関する条項を必ず確認する:
契約書に「ペット禁止」と記載されている場合は、必ず不動産屋に確認し、ペット飼育が可能かどうかを確認しましょう。
ペット飼育が可能な場合でも、犬種やサイズ、頭数などに制限がある場合がありますので、注意が必要です。
ペット飼育に関する覚書を作成する:
口頭での合意だけでなく、ペット飼育に関する覚書を作成し、契約書に添付してもらうようにしましょう。
覚書には、ペットの種類、頭数、飼育に関する特約などを明記しましょう。
他の住民への配慮を心がける:
犬の無駄吠えを防止する
共用部分を清潔に保つ
散歩の際には、必ずリードを着用し、糞尿の処理を行う
これらの点に注意することで、ペットとの快適な賃貸生活を送ることができます。
今回は、賃貸マンションでペット(犬)の飼育を突然禁止された場合の対処法について解説しました。愛犬との生活を守るためには、証拠の収集、内容証明郵便の送付、不動産屋との交渉、弁護士への相談など、様々な手段を講じる必要があります。諦めずに、愛犬との幸せな生活のために、できることから始めていきましょう。