愛犬との賃貸生活は楽しいものですが、退去時の敷金トラブルは大きな悩みの種ですよね。今回は、敷金返還を巡る不当な請求に直面した方の事例をもとに、泣き寝入りしないための具体的なアドバイスをお届けします。
Aさんは愛犬と一緒に暮らすため、3LDKの賃貸物件に2年契約で入居しました。1年半後、海外転勤が決まり退去。退去時の立ち会いでは、不動産会社から敷金の半分程度は返還される見込みだと説明を受けました。しかし、実際に返還されたのはごくわずかな金額。明細を見ると、クロスの張替えや畳の交換費用が差し引かれており、納得がいきません。特に、犬が汚したわけでもないクロスの張替え費用や、入居前からあった劣化部分の修繕費用まで請求されていることに憤りを感じています。
Aさんのように、敷金返還を巡るトラブルは後を絶ちません。特に、ペット可物件の場合、犬の臭いや汚れを理由に高額な修繕費用を請求されるケースも少なくありません。しかし、諦めるのはまだ早い! 不当な請求から身を守るために、以下のポイントを確認しましょう。
まずは、賃貸契約書を隅々まで確認しましょう。特に、ペットに関する特約の有無は重要です。「ペット飼育可」と記載されている場合でも、詳細な条件が記載されていることがあります。例えば、「退去時に専門業者によるクリーニングが必要」といった条項があるかもしれません。
ポイント:契約書に「犬による汚れや臭いが発生した場合、借主が修繕費用を負担する」といった条項がないか確認しましょう。
国土交通省が定めている「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、賃貸物件の原状回復について、貸主と借主の負担区分を明確にしています。このガイドラインによれば、経年劣化や通常の使用による損耗は、貸主が負担すべきとされています。
ポイント:ガイドラインを参考に、今回の請求が妥当かどうかを判断しましょう。例えば、クロスの張替えは、犬が故意に傷つけた場合を除き、貸主負担となる可能性が高いです。
入居時と退去時の部屋の状態を写真や動画で記録しておくことは、トラブル解決の強力な武器になります。特に、入居前からあった傷や汚れは、退去時に指摘される可能性があるので、必ず記録しておきましょう。
ポイント:退去時の立ち会いの際も、部屋の状態を細かく記録し、不動産会社との間で認識の相違がないように努めましょう。
不動産会社からの請求に納得がいかない場合は、内容証明郵便で反論しましょう。内容証明郵便とは、いつ、誰が、誰に、どのような内容の手紙を送ったかを証明するものです。
ポイント:内容証明郵便には、請求の根拠が不明確であること、国土交通省のガイドラインに照らし合わせると借主の負担範囲を超えることなどを具体的に記載しましょう。
内容証明郵便を送っても解決しない場合は、弁護士や消費者センターに相談しましょう。専門家のアドバイスを受けることで、法的な視点から問題を解決することができます。
ポイント:ペット問題に強い弁護士や、不動産トラブルに詳しい専門家を探しましょう。
少額訴訟とは、60万円以下の金銭トラブルを解決するための裁判手続きです。通常の裁判よりも手続きが簡単で、費用も抑えることができます。
ポイント:少額訴訟は、時間や手間はかかりますが、泣き寝入りせずに済む有効な手段です。
敷金トラブルは、事前に予防することが大切です。賃貸契約を結ぶ前に、契約内容をしっかりと確認し、不明な点は不動産会社に質問しましょう。また、入居時と退去時には、部屋の状態を写真や動画で記録しておくことをお勧めします。
愛犬との賃貸生活は、ルールを守り、お互いを尊重することで、より豊かなものになります。今回の事例を参考に、不当な請求から身を守り、愛犬との快適な暮らしを実現してくださいね。