退去費用、気になりますよね!特にペットと暮らしていると、通常の退去よりも費用が高くなるのではないかと心配になるのは当然です。今回は、そんな不安を解消するために、ペット(犬)と暮らした賃貸物件の退去費用について、具体的な事例を交えながら徹底解説します。
まず、退去費用とは、賃貸物件を退去する際にかかる費用の総称です。主に以下のものが含まれます。
原状回復費用:借りたときの状態に戻すための費用。
ハウスクリーニング費用:部屋全体の清掃費用。
その他費用:鍵の交換費用、エアコンクリーニング費用など。
この中でも特に重要なのが「原状回復費用」です。これは、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づいて算出されます。
今回の相談者Aさんのケースを詳しく見ていきましょう。Aさんは1LDKのロフト付き物件に7年間住み、犬を一頭飼育していました。
Aさんの部屋の状態
突っ張り棒による壁の凹み(手のひらの半分くらいの大きさ)
フローリングのメタルラックのサビ
キッチンの壁紙の廃油によるシミ
天井と壁の隙間の黒カビ
壁紙のヒビ(不注意によるものではない)
エアコン上部のシミ(カビ?)
これらの状況を踏まえて、退去費用がどのように算出されるのかを解説します。
原状回復義務とは、借りたときの状態に戻す義務のことですが、これはあくまで「通常の使用による損耗」を除いた範囲です。つまり、Aさんの場合、経年劣化や通常の使用による汚れは、原状回復義務の対象外となります。
Aさんのケースで原状回復義務が発生する可能性のあるもの
突っ張り棒による壁の凹み
フローリングのメタルラックのサビ
キッチンの壁紙の廃油によるシミ
エアコン上部のシミ(カビ?)
原状回復義務が発生しない可能性のあるもの
天井と壁の隙間の黒カビ(自然発生的なものと判断される場合)
壁紙のヒビ(不注意によるものではないため)
ペット可物件であっても、ペットによる傷や汚れは原状回復義務の対象となる場合があります。特に、犬の場合は、以下のような点が注意が必要です。
壁や柱の傷:犬が爪で引っ掻いたり、噛んだりした場合。
フローリングの汚れ:犬の粗相や抜け毛による汚れ。
臭い:犬の体臭や排泄物の臭いが染み付いている場合。
Aさんの場合、犬による直接的な傷や汚れの記述はありませんが、フローリングのサビや壁紙のシミが、犬の飼育環境に起因するものと判断される可能性もあります。
1LDKの賃貸物件でペット(犬)を飼育していた場合の退去費用の相場は、一般的に10万円~30万円程度と言われています。ただし、これはあくまで目安であり、部屋の状態や契約内容によって大きく変動します。
Aさんの場合、複数の修繕箇所があるため、相場よりも高くなる可能性も考慮しておく必要があります。
具体的な修繕費用の内訳を見ていきましょう。
壁の凹み:壁紙の張替え費用(1㎡あたり1,000円~3,000円程度)
フローリングのサビ:部分的なフローリングの張替え費用(1㎡あたり5,000円~15,000円程度)または、特殊な洗剤でのクリーニング費用
キッチンの壁紙のシミ:壁紙の張替え費用(1㎡あたり1,000円~3,000円程度)
天井の黒カビ:カビ取りクリーニング費用(1箇所あたり5,000円~10,000円程度)
エアコン上部のシミ:エアコンクリーニング費用(1台あたり8,000円~15,000円程度)
これらの費用を合計すると、Aさんの場合、15万円~25万円程度の修繕費用がかかる可能性があります。
退去費用を少しでも抑えるために、退去前にできることをご紹介します。
1.  徹底的な掃除
部屋全体の掃除機がけ、水拭き
キッチン、浴室、トイレなどの水回りの清掃
窓ガラス、サッシの清掃
換気扇の清掃
2.  自分でできる範囲の修繕
壁の凹み:市販の補修材で埋める
フローリングの傷:市販の補修ペンで塗る
壁紙の汚れ:メラミンスポンジで落とす
3.  業者に依頼する
エアコンクリーニング:専門業者に依頼する
カビ取り:専門業者に依頼する
Aさんの場合、特にキッチンの壁紙のシミやエアコン上部のシミは、専門業者に依頼することで、費用を抑えられる可能性があります。
退去時には、以下の点に注意して、トラブルを避けましょう。
1.  立会い
必ず立会いを行い、部屋の状態を一緒に確認する。
2.  見積もり
退去費用の見積もりを必ず書面で受け取る。
見積もりの内訳を詳しく確認し、不明な点があれば質問する。
3.  交渉
見積もりの金額に納得できない場合は、交渉する。
国土交通省のガイドラインを参考に、原状回復義務の範囲を確認する。
4.  記録
部屋の状態を写真や動画で記録しておく。
立会いの際にサインした書類のコピーを保管する。
Aさんの場合、壁紙のヒビが不注意によるものではないことを証明するために、入居時の写真や契約書などを保管しておくと良いでしょう。
もし、退去費用が高額になった場合は、以下の機関に相談することもできます。
消費者センター:消費者からの相談を受け付けています。
弁護士:法律の専門家として、適切なアドバイスをしてくれます。
ペット(犬)と暮らす賃貸物件の退去費用は、事前の対策と知識があれば、必要以上に高額になることはありません。Aさんのように、退去前にできることを行い、退去時にはしっかりと立会い、見積もりを確認することで、安心して新生活をスタートさせることができます。
今回の記事が、皆様の退去費用の不安解消に役立つことを願っています。