賃貸物件での犬との生活は、かけがえのない喜びをもたらしてくれるもの。しかし、退去時の費用や修繕について、不安や疑問を感じる方も少なくないのではないでしょうか?特に、愛犬が壁や床を傷つけてしまった場合、どのように対応すれば良いのか悩んでしまいますよね。
今回は、犬と暮らす賃貸物件の退去費用と修繕について、具体的なケースを基に、原状回復義務や自分で修繕する場合の注意点、費用を抑えるための賢い対処法を解説します。ぜひ、最後まで読んで、安心して退去日を迎えられるように準備しましょう。
まず、賃貸契約における「原状回復義務」について理解しておきましょう。原状回復とは、賃貸物件を退去する際に、借りたときの状態に戻す義務のことです。しかし、これはあくまで「通常の使用による損耗」を除いた範囲となります。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、
通常損耗:日焼け、家具の設置による床のへこみ、画鋲の跡など、通常の使用で発生する損耗
特別損耗:故意・過失、または通常の使用を超えるような使用による損耗(例:ペットによる傷、タバコのヤニ、水漏れなど)
ペットによる傷は、通常損耗ではなく、特別損耗に該当します。そのため、修繕費用は借主が負担することになるのが一般的です。
実際に、退去費用はどのように計算されるのでしょうか?具体的なケースを見てみましょう。
【ケース】
物件:大東建託のペット可賃貸
居住年数:3年
犬種:小型犬
傷の状況:壁のクロス3箇所(広範囲)、床のへこみ数箇所
この場合、退去費用の内訳は以下のようになる可能性があります。
1. クロスの張替え費用
範囲:傷のある部分だけでなく、一面全体の張替えになることが多い
費用相場:1㎡あたり1,000円~2,000円
2. 床の補修費用
範囲:へこみの程度によるが、部分的な補修で済む場合もある
費用相場:1箇所あたり5,000円~10,000円
3. その他
ハウスクリーニング費用:30,000円~50,000円
消毒費用(ペット可物件の場合):10,000円~30,000円
合計すると、10万円を超える費用になることも珍しくありません。
退去費用を抑えるために、自分で修繕することを考える方もいるでしょう。DIYによる修繕には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
【メリット】
費用を大幅に抑えられる
自分のペースで作業できる
DIYのスキルが身につく
【デメリット】
仕上がりのクオリティに左右される
時間と手間がかかる
管理会社や大家さんの許可が必要な場合がある
特に注意したいのは、管理会社や大家さんの許可です。無断で修繕した場合、かえってトラブルになる可能性があります。必ず事前に相談し、許可を得てからDIYを行いましょう。
自分で修繕する自信がない場合は、プロの業者に依頼するのがおすすめです。しかし、業者選びを間違えると、高額な費用を請求されたり、仕上がりに不満が残ったりする可能性があります。以下のポイントに注意して、信頼できる業者を選びましょう。
1. 複数の業者から見積もりを取る
相場を知るために、最低3社から見積もりを取りましょう。
見積もりの内訳を詳しく確認し、不明な点があれば質問しましょう。
2. 実績や評判を確認する
インターネットの口コミサイトや、実際に利用した人の話を聞いてみましょう。
過去の施工事例を見せてもらうのも有効です。
3. アフターフォローの有無を確認する
万が一、修繕後に不具合が見つかった場合の対応について確認しておきましょう。
保証期間や保証内容も確認しておくと安心です。
退去費用を少しでも抑えるために、管理会社や大家さんと交渉することも可能です。以下のポイントを参考に、冷静に話し合いましょう。
1. 契約書をよく確認する
原状回復義務の範囲や、特約事項などを確認しましょう。
不明な点があれば、遠慮せずに質問しましょう。
2. 傷の状況を正確に伝える
写真や動画を撮っておくと、状況を説明しやすくなります。
修繕費用の見積もりを提示し、妥当性を確認してもらいましょう。
3. 減額交渉をする
居住年数や傷の程度などを考慮し、減額交渉をしてみましょう。
自分で修繕することを提案してみるのも一つの手です。
4. 第三者機関に相談する
交渉が難航する場合は、消費者センターや弁護士などの専門家に相談することも検討しましょう。
実際に、交渉によって退去費用を大幅に削減できた事例もあります。
【事例】
Aさん(30代女性)は、ペット可の賃貸マンションに5年間居住。退去時に、犬が壁を引っ掻いた傷の修繕費用として、20万円の見積もりを提示された。
Aさんは、契約書を確認し、原状回復義務の範囲について確認。また、複数の業者から見積もりを取り、相場よりも高いことを指摘した。
管理会社と交渉した結果、修繕費用は12万円に減額。さらに、自分で壁紙を調達し、DIYで修繕することを提案し、最終的に8万円で済んだ。
Aさんのように、事前にしっかりと準備し、冷静に交渉することで、費用を大幅に削減できる可能性があります。
最後に、ペットと暮らす賃貸物件の注意点について、専門家(仮にBさんとします)に話を聞きました。
Bさん:「ペットと暮らす賃貸物件は、通常の物件よりも退去費用が高くなる傾向があります。契約時に、ペットに関する特約事項をよく確認し、日頃からペットの行動に注意することが大切です。また、定期的な換気や掃除を心がけ、清潔な状態を保つようにしましょう。」
犬との賃貸生活は、事前の準備と日頃の注意で、より快適なものになります。退去時には、原状回復義務を理解し、自分で修繕するか、プロに依頼するかを検討しましょう。費用を抑えるためには、複数の業者から見積もりを取り、管理会社や大家さんと交渉することが大切です。
今回の記事が、皆様の犬との賃貸生活の一助となれば幸いです。