愛犬との幸せな賃貸生活。しかし、退去時の請求書を見て青ざめた経験はありませんか?
「これって本当に私が払うべき?」そんな疑問や不安を抱えているあなたのために、今回は犬との居住における賃貸物件の退去費用について、徹底的に解説します。
高額請求に納得がいかない場合の対処法や、経年劣化の考慮など、知っておくべき知識をQ&A形式で分かりやすくご紹介します。
この記事を読めば、退去時のトラブルを回避し、愛犬との暮らしをより安心して楽しめるようになるでしょう。
Aさんは愛犬(トイプードル)との生活をエンジョイしていましたが、3年住んだ賃貸物件の退去時に高額な請求書が届き、途方に暮れていました。
喫煙していた部屋のクロス張り替えは納得していたものの、畳の表替え、ウッドタイルの補修、エアコンクリーニングなど、予想外の項目が並んでいたのです。
「これって、犬との生活が原因?」「経年劣化は考慮されないの?」Aさんは不安でいっぱいになり、専門家への相談を決意しました。
賃貸物件の退去費用は、主に以下の項目で構成されています。
原状回復費用: 入居時の状態に戻すための費用(故意・過失による汚損、破損など)
クリーニング費用: 室内全体の清掃費用
その他費用: 鍵の交換費用、消毒費用など
今回のAさんのケースでは、
畳の表替え、ウッドタイルの補修、エアコンクリーニングなどが原状回復費用として請求されています。
しかし、これらの費用が本当にAさんの負担となるのか、詳しく見ていきましょう。
Aさんの場合、畳の部屋に犬のケージを置いていたことが、畳の表替え費用請求の理由として考えられます。
しかし、ここで重要なのは、「犬のケージが原因で、畳に通常の使用を超える損耗があったかどうか」です。
例えば、
ケージの脚で畳が凹んでしまった
犬が畳を引っ掻いて傷つけてしまった
犬の排泄物などで畳が汚れてしまった
などのケースでは、Aさんの負担となる可能性が高いでしょう。
しかし、単にケージを置いていただけで、畳に目立った損傷がない場合は、経年劣化として扱われるべきです。
【アドバイス】
入居時に畳の状態を写真で記録しておきましょう。
退去時に、畳の損傷状況を詳しく確認し、写真に残しましょう。
業者に依頼して、損傷の原因が犬によるものなのか、経年劣化なのかを判断してもらいましょう。
フローリングの部屋に座椅子を置いていた跡が黒ずんでいた場合、これは「通常の使用による損耗」とみなされる可能性があります。
なぜなら、座椅子を置いていたこと自体は、通常の生活範囲内であり、フローリングの保護を怠ったわけではないからです。
ただし、
黒ずみが著しく、フローリングの変色や傷みが激しい場合
座椅子にカバーをしていなかったなど、過失があったと認められる場合
などは、Aさんの負担となる可能性もあります。
【アドバイス】
入居時にフローリングの状態を写真で記録しておきましょう。
退去時に、黒ずみの程度を詳しく確認し、写真に残しましょう。
業者に依頼して、黒ずみの原因が座椅子によるものなのか、他の原因によるものなのかを判断してもらいましょう。
喫煙していた部屋のエアコンクリーニングや室内クリーニングは、喫煙が原因である可能性が高いです。
なぜなら、タバコのヤニや臭いは、通常のクリーニングでは落ちにくく、特別な清掃が必要となる場合があるからです。
ただし、喫煙していた部屋以外のエアコンクリーニング費用まで請求されている場合は、注意が必要です。
喫煙の影響が及んでいない部屋のエアコンクリーニング費用は、Aさんの負担となるべきではありません。
【アドバイス】
喫煙していた部屋と、そうでない部屋のクリーニング費用を分けて請求してもらいましょう。
喫煙が原因で、通常のクリーニングでは落ちない汚れや臭いがあることを、業者に確認してもらいましょう。
換気を徹底するなど、日頃から喫煙による汚れや臭いを最小限に抑えるように心がけましょう。
賃貸物件は、年数が経つにつれて、どうしても劣化していきます。
この経年劣化による損耗は、通常、家賃に含まれていると考えられています。
そのため、Aさんが3年間住んでいたことによる経年劣化は、退去費用から差し引かれるべきです。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも、経年劣化は考慮されるべきと明記されています。
【アドバイス】
契約書に「経年劣化は考慮しない」などの特約がないか確認しましょう。
経年劣化による損耗であることを、大家さんや管理会社に主張しましょう。
国土交通省のガイドラインを参考に、交渉を進めましょう。
もし、Aさんが受け取った請求書が高額で、納得がいかない場合は、以下の手順で対処しましょう。
1. 請求書の内容を詳しく確認する:
請求項目の内訳、金額、根拠などを確認し、不明な点があれば、大家さんや管理会社に問い合わせましょう。
2. 契約書を確認する:
原状回復に関する条項、特約などを確認し、Aさんの負担範囲を把握しましょう。
3. 証拠を集める:
入居時、退去時の写真、業者による鑑定書、国土交通省のガイドラインなど、Aさんの主張を裏付ける証拠を集めましょう。
4. 交渉する:
大家さんや管理会社と直接交渉し、減額や負担割合の見直しを求めましょう。
話し合いがまとまらない場合は、内容証明郵便で通知することも有効です。
5. 専門機関に相談する:
国民生活センターや弁護士会など、専門機関に相談し、アドバイスやサポートを受けましょう。
6. 調停・訴訟:
交渉が決裂した場合は、調停や訴訟を検討しましょう。
ただし、費用や時間などの負担も考慮し、慎重に判断する必要があります。
今回のAさんのケースについて、賃貸トラブルに詳しいB弁護士に意見を伺いました。
B弁護士:
「Aさんの場合、喫煙していた部屋のクロス張り替え費用は負担する必要があるでしょう。しかし、畳の表替え、ウッドタイルの補修、エアコンクリーニング費用については、経年劣化や通常の使用による損耗である可能性が高く、Aさんが全額負担する必要はないと考えられます。まずは、請求書の内容を詳しく確認し、大家さんや管理会社と交渉することが重要です。もし、交渉が難航する場合は、専門機関に相談することも検討しましょう。」
愛犬との賃貸生活は、多くの喜びをもたらしてくれます。
しかし、退去時には、思わぬトラブルに巻き込まれることもあります。
今回の記事でご紹介した知識や対処法を参考に、高額請求に冷静に対応し、愛犬との暮らしを安心して楽しめるようにしましょう。
【愛犬と暮らすための賃貸選びのポイント】
ペット可物件を選ぶのは大前提!
犬種や頭数制限の確認を忘れずに
消臭・抗菌機能付きの壁紙や床材を選ぶ
防音性の高い物件を選ぶ
ペット保険への加入を検討する
近隣に動物病院やドッグランがあるか確認する
これらのポイントを踏まえ、愛犬との快適な賃貸生活を実現してくださいね。