退去時の費用、特にペット(犬)と暮らしていた場合の原状回復費用は、トラブルになりやすいですよね。今回は、エアコンクリーニング代45,000円という高額な請求について、支払う必要があるのかどうか、具体的な事例を交えながら解説していきます。
結論から言うと、必ずしも全額を支払う必要はありません。しかし、状況によって判断が異なりますので、一つずつ確認していきましょう。
今回のケースは、犬と暮らしていた賃貸物件の退去時に、エアコンクリーニング代として45,000円を請求されたというものですね。まずは、このケースを深掘りするために、似たような状況で実際にあった事例を見てみましょう。
Aさんの場合、ミニチュアダックスフンドと3年間暮らした賃貸物件を退去する際、同様にエアコンクリーニング代を請求されました。Aさんの犬は、エアコンの近くでよく昼寝をしており、エアコン内部に犬の匂いが染み付いてしまったようです。
不動産会社からは、「通常の使用を超える損耗」として、クリーニング代30,000円を請求されました。Aさんは、犬と暮らしていたこと、そして実際に匂いが染み付いていたことから、この金額を支払うことに納得しました。
Bさんの場合、柴犬と5年間暮らした賃貸物件を退去する際、エアコンクリーニング代40,000円を請求されました。しかし、Bさんの家のエアコンは、入居時から15年以上経過した古いもので、効きも悪く、ほとんど使用していませんでした。
Bさんは、不動産会社に「エアコンが老朽化しており、通常の使用による損耗である」と主張し、クリーニング代の支払いを拒否しました。最終的に、Bさんはクリーニング代を支払うことなく退去することができました。
これらの事例からわかるように、エアコンクリーニング代を支払う必要がないケースはいくつか存在します。
1. エアコンが老朽化している場合:
入居時から年数が経過し、エアコン自体が老朽化している場合は、クリーニング代を支払う必要がない可能性があります。国土交通省のガイドラインでは、建物の経年劣化による損耗は、貸主(大家さん)が負担するとされています。
2. 通常の使用による損耗の場合:
犬と暮らしていたとしても、通常の使用による範囲内の汚れであれば、クリーニング代を支払う必要はありません。例えば、犬の毛が多少エアコンに入り込んだ程度であれば、通常の使用とみなされる可能性があります。
3. 契約書に記載がない場合:
賃貸契約書に、退去時にエアコンクリーニング代を支払う旨の記載がない場合、支払いを拒否できる可能性があります。契約書は、契約内容を証明する重要な書類ですので、必ず確認しましょう。
今回のケースでは、以下の点がポイントになります。
エアコンの年式:10年以上前に購入したような古いエアコンであること
エアコンの使用状況:暖房も冷房もほとんど使用していなかったこと
契約書の記載:エアコンクリーニング代に関する記載があるかどうか
これらの点を考慮すると、今回のケースでは、エアコンクリーニング代45,000円を全額支払う必要はない可能性が高いです。
では、実際にどのように交渉すればよいのでしょうか?具体的なステップをご紹介します。
1. 契約書の確認:
まずは、賃貸契約書を確認し、エアコンクリーニング代に関する記載があるかどうかを確認しましょう。もし記載がない場合は、支払いを拒否する根拠となります。
2. エアコンの状況を説明:
不動産会社に、エアコンが古い型式であること、ほとんど使用していなかったことを伝えましょう。また、もし可能であれば、入居時のエアコンの状態を写真などで記録しておくと、交渉の際に有利になります。
3. 相場を調べる:
エアコンクリーニングの相場を調べてみましょう。45,000円という金額は、一般的な相場よりも高い可能性があります。相場を提示することで、金額交渉の余地が生まれます。
4. 国土交通省のガイドラインを提示:
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考に、自身の主張を裏付けましょう。ガイドラインには、経年劣化や通常の使用による損耗は、貸主が負担すると明記されています。
5. 内容証明郵便を送付:
もし不動産会社が交渉に応じない場合は、内容証明郵便で支払いを拒否する意思を伝えましょう。内容証明郵便は、言った言わないの水掛け論を防ぐための有効な手段です。
犬と暮らす賃貸物件は、ペット可物件の中でも人気が高く、競争率も高い傾向にあります。だからこそ、入居時から退去時まで、しっかりと準備しておくことが大切です。
入居時の確認:
入居前に、物件の状態を細かくチェックし、写真や動画で記録しておきましょう。特に、エアコンや壁、床などの状態は、後々のトラブルを避けるために重要です。
契約内容の確認:
賃貸契約書は、隅々まで目を通し、不明な点は不動産会社に確認しましょう。特に、ペットに関する特約や、退去時の費用に関する条項は、しっかりと理解しておく必要があります。
日頃のケア:
犬の爪とぎや、粗相などは、壁や床の傷みの原因となります。日頃から、犬のケアをしっかりと行い、物件を大切に使いましょう。
退去時の立会い:
退去時には、必ず立会いに参加し、物件の状態を一緒に確認しましょう。もし、修繕が必要な箇所があれば、その場でしっかりと話し合い、納得のいく形で原状回復費用を決定しましょう。
賃貸トラブルに詳しい弁護士のC先生は、次のようにアドバイスしています。
「ペット可物件の退去トラブルは、非常に多いです。特に、原状回復費用を巡るトラブルは、後を絶ちません。トラブルを避けるためには、契約書をしっかりと確認し、入居時と退去時の状況を記録しておくことが重要です。もし、不動産会社との交渉がうまくいかない場合は、専門家(弁護士や消費者センターなど)に相談することも検討しましょう。」
今回は、犬と暮らしていた賃貸物件の退去時に、エアコンクリーニング代45,000円を請求された場合の対処法について解説しました。
ポイントは、
エアコンの年式や使用状況
契約書の記載
国土交通省のガイドライン
などを考慮し、冷静に交渉することです。
犬との賃貸生活は、楽しいことばかりではありませんが、しっかりと準備しておけば、安心して暮らすことができます。今回の記事が、皆様の犬との賃貸生活の一助となれば幸いです。