最初、3LDK全部屋同様のことを要求され、60万円を要求されたが、自分も福岡・横浜・大阪とペットと一緒に異動したが、このような請求は初めてと抵抗し、上記「LDKのみ」まで譲歩させた。が、いまだに納得できない。本年11月ころに退去の予定です。「国土交通省住宅局」の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を読み、覚書の費用は通常の管理費に含まれるもではないのか。全額負担せねばならないのか疑問に感じています。それほど部屋も汚れていないし、老犬なのでおしめをして注意して飼育しています。同時に、契約時にこの契約が必須であったことも納得できません。2年半での退去で、この費用の全額返還を要求したいが、どのような方法があるのかについて、お知恵をお借りしたく質問します。
結論から言うと、ペット可賃貸における原状回復費用の扱いは、契約内容や犬の飼育状況によって大きく変わるため、全額返還を求めるのは難しいケースもあります。しかし、諦める前に確認すべき点や交渉の余地は大いにあります。今回は、愛犬との賃貸生活で直面する原状回復費用のトラブルについて、具体的な解決策を一緒に探っていきましょう。
今回のケースは、まさにペットと暮らす賃貸物件でよくあるトラブルの典型例と言えるでしょう。転勤族のAさん(仮名)は、愛犬のヨークシャーテリア(15歳)と共に、岩手県の賃貸マンションに入居しました。法人契約ということもあり、契約時に「ペットによる現状回復費用預かり金」として16.4万円を支払うことになったのです。
契約書には、退去時にLDKの壁や床の張替え費用を全額負担するという条項があり、Aさんはこの内容に納得がいきません。しかし、愛犬との生活のためには、この条件を飲むしかなかったのです。
2年半後、Aさんは転勤が決まり、いよいよ退去の日が近づいてきました。Aさんは、国土交通省のガイドラインを参考に、原状回復費用の負担について疑問を持ち、全額返還を求めて交渉することを決意しました。
まず、原状回復義務について正しく理解することが重要です。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」には、賃借人が負担すべき費用は、通常の使用を超える損耗や毀損に限られると明記されています。
つまり、経年劣化や通常の使用による損耗は、家賃に含まれるものと考えられ、賃借人が負担する必要はないのです。しかし、ペットによる引っ掻き傷や臭いなどは、通常の使用を超える損耗とみなされる可能性があります。
今回のケースでは、契約書に「経年変化・通常損傷は考慮しない」という条項が含まれています。これは、Aさんにとって不利な条件と言えるでしょう。しかし、この条項がすべて有効となるわけではありません。消費者契約法などの法律によって、消費者に一方的に不利な条項は無効となる場合があるからです。
Aさんが原状回復費用の返還を求めるためには、以下のポイントを押さえて交渉に臨む必要があります。
まず、入居時と退去時の部屋の状態を写真や動画で記録しておくことが重要です。特に、ペットによる傷や汚れがないことを証明できるような証拠を集めておきましょう。また、日頃からこまめに掃除や手入れをしていたことを示す記録(掃除の日付、使用した洗剤など)も有効です。
国土交通省のガイドラインや消費者契約法などの法的根拠を理解し、それを基に交渉を進めることが重要です。特に、「経年変化・通常損傷は考慮しない」という条項が、消費者契約法に違反する可能性があることを指摘しましょう。
感情的にならず、冷静に、論理的に交渉を進めることが大切です。相手の言い分をよく聞き、こちらの主張を丁寧に説明しましょう。必要であれば、弁護士や消費者センターなどの専門機関に相談することも検討しましょう。
今回のケースについて、弁護士のB先生に意見を伺いました。B先生は、ペットに関する賃貸トラブルに詳しい専門家です。
「今回のケースでは、契約書に『経年変化・通常損傷は考慮しない』という条項が含まれていることが問題です。しかし、この条項が消費者契約法に違反する可能性は十分にあります。特に、Aさんの場合、老犬におむつをさせて飼育しており、部屋の汚損が少ないことを証明できれば、全額返還を求めることができるかもしれません」
また、B先生は、交渉の進め方についてもアドバイスをくれました。
「まずは、管理会社に対して、内容証明郵便で原状回復費用の返還を求める書面を送付しましょう。その際、証拠写真や法的根拠を添付し、具体的な金額を提示することが重要です。もし、管理会社が交渉に応じない場合は、少額訴訟を提起することも検討しましょう」
過去には、同様のケースで原状回復費用の返還に成功した例もあります。Cさんは、猫を飼っている賃貸マンションを退去する際、管理会社から高額な原状回復費用を請求されました。
Cさんは、弁護士に相談し、内容証明郵便で原状回復費用の返還を求める書面を送付しました。その際、猫による傷や汚れがないことを証明する写真や、国土交通省のガイドラインを添付しました。
その結果、管理会社はCさんの主張を認め、原状回復費用を大幅に減額することで合意しました。Cさんは、弁護士の助けを借りながら、冷静に交渉を進めたことが成功の要因だったと語っています。
ペットと暮らす賃貸物件では、退去時の原状回復費用を巡るトラブルが後を絶ちません。しかし、泣き寝入りする必要はありません。契約内容をよく確認し、証拠を収集し、法的根拠を理解した上で、冷静に交渉を進めましょう。
今回のAさんのケースでは、愛犬が高齢であること、おむつをさせて飼育していたことなどから、部屋の汚損が少ない可能性が高いと考えられます。まずは、管理会社に原状回復費用の明細を提示してもらい、不当な請求がないか確認しましょう。
そして、国土交通省のガイドラインや消費者契約法を根拠に、減額交渉を試みましょう。必要であれば、弁護士や消費者センターなどの専門機関に相談することも検討しましょう。
愛犬との大切な思い出が詰まった部屋を、気持ちよく退去できるように、最後まで諦めずに交渉を続けてください。
【今回の記事のポイント】